静岡学園(プリンスリーグ東海1位)が、2013年以来9年ぶりのプレミアリーグ参入を決めた。愛媛U-18(同・四国2位)を延長戦の末、3-2で退けた。同点で迎えた延長後半に途中出場のMF高橋隆大(りゅうた、2年)がPKで決勝点。参入戦で過去3度敗れていたが、「4度目の正直」でプレミア復帰を果たした。この日は静岡学園2ndも来季プリンスリーグ東海参入決定戦に勝ち、ダブル昇格を飾った。JFAアカデミー福島(同・東海2位)も尚志(同・東北1位、福島)にPK戦で辛勝し、来季プレミア昇格となった。

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途中出場の2年生が大仕事をやってのけた。2-2で迎えた延長後半3分。静岡学園の高橋は自ら得たPKのキッカーを志願した。「何としても蹴りたかった」。途中出場の2年生エースは短い助走から右足を振り抜き、ゴール左へ。強烈な一撃で決勝点を奪うと、歓喜の雄たけびを上げた。

本来、PKのキッカーはFW松永颯汰(3年)が務めている。ただ、高橋には譲れない理由があった。「ずっと点が取れていなかった」。全試合に先発した今秋の県選手権は無得点。再開されたプリンスリーグ東海では、3試合連続で先発を外されていた。「悔しい気持ちがあった」。約2カ月ぶりの公式戦ゴールが殊勲の決勝点。キッカーを譲った松永は「来年のプレミアを戦うのは2年と1年。蹴る前に自分で決めろと言った」。後輩に思いを託していた。

川口修監督(48)は「内容よりも勝つことを優先した」と勝負にこだわった。同校は過去3度、参入戦で敗退。今年は勝ちきるために最善を尽くした。試合3日前の9日に静岡を出発。バスで約9時間かけて広島入りし、現地で2日間調整した。先制点を挙げた松永は「ずっとプレミア昇格を目標にしてきた」。この日は2点リードを追いつかれる苦しい展開も、勝利への執念が最後に実を結んだ。

今季は新人戦と県総体、県選手権、プリンスリーグ東海優勝の「4冠」を達成。プレミア昇格の新たな勲章も手にし、年末の全国選手権に挑む。目標は2年ぶりの王座奪還。高橋は「全国制覇したい」と力強く宣言した。【神谷亮磨】

高円宮杯U-18プリンスリーグ東海参入決定戦が12日、磐田市内で行われた。静岡学園2nd(静岡1位)は1-0で中京(岐阜1位)に、名古屋U-18B(愛知1位)は7-0で岐阜U-18(岐阜2位)に勝った。3位決定戦は中京と岐阜U-18の同県対決となったため、県リーグの結果を優先。この日勝った2チームと中京が、来季のプリンスリーグ東海昇格を決めた。今季最下位(10位)の四日市中央工(三重)が県リーグに降格する。

◆来季のプレミアリーグ 参入戦を勝ち抜いた静岡学園、JFAアカデミー福島、桐生第一(群馬)、前橋育英(群馬)、川崎FU-18(神奈川)、履正社(大阪)の計6チームが来季から加わる。今季、10チームずつで構成されたEASTとWESTは来季、各12チームに増え、ホーム&アウェーの総当たり戦で優勝を争う。