傷だらけの神戸に待望の1発が生まれた。主将MFアンドレス・イニエスタ(37)がアウェー広島戦の前半28分、技ありの今季初ゴールを記録。武藤と大迫の2トップを故障で欠いたチームを支えた。後半の失点で1-1と引き分け、クラブワーストに並ぶ開幕5戦未勝利(3分け2敗)となった神戸だが、主将は次節11日のホーム鹿島戦で必勝を誓った。

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イニエスタは、激闘を終えた仲間をベンチ前で優しく出迎えた。開幕5戦未勝利は99年(1分け4敗)に並ぶクラブワースト。それでも主将は前を向いた。

「チームとしては勝ちを求めて、ここから成長を続けるしかない。勝てないと不安や疑念が入ることも普通だが、試合ごとによくなっている」

敗れた前節横浜戦で武藤は左膝を、大迫も脚を負傷。日本代表級の2トップが今季初めて欠場した。前節まで4戦で3度も無得点という窮状を救ったのが、背番号8だった。

前半28分にMF小田、山口とつないだパスを、ゴール前に進入したイニエスタが、右足のインサイドで流し込んだ。正確性を求めた技ありシュートが今季初得点。「試合の大半を支配できたと思うし、ゴールも決められた」。昨年11月20日横浜FC戦以来、来日5年目でJ1通算20ゴール目(90試合)を素直に喜んだ。

体調が戻ったDF菊池が今季初出場した守備陣も踏ん張ったが、後半の失点でドローに終わった。イニエスタは「勝つ上で足りなかったのは、もっとチャンスをものにし、守備で守り切るところ」と、冷静に詰めの甘さも指摘した。

クラブ史上最高の3位に入った昨季は、連敗は1度もなかった。今季は未勝利ながら、この日も阻止。「みんなで乗り越えていきたい」と三浦監督。主将も「11日に鹿島戦、15日には今後を占う重要な試合(ACLプレーオフのメルボルンV戦)もある。自分たちを信じて戦っていく」と強気だった。【横田和幸】