ヴィッセル神戸がホーム鹿島アントラーズ戦で0-2と完敗し、23年ぶりにクラブワーストを更新する開幕6戦未勝利(3分け3敗)と泥沼に入った。

故障者が続出する中、前半7分にあっさりと失点。中盤は支配するものの、要所は鹿島に完全に屈した。15日にはホームでACLプレーオフのメルボルン・ビクトリー(オーストラリア)戦が行われる。緊急事態に陥った神戸の真価が試されている。

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昨季はクラブ最高の3位に入った神戸が、99年の開幕5戦未勝利(1分け4敗)を更新する泥沼の6戦未勝利となった。今季初勝利を誓っていた三浦監督は「早い時間(前半7分)の失点が難しくした。結果を出させることができず、責任を感じている」と深刻な表情を浮かべた。

わずか6本のシュートで今季4度目の無得点。FW武藤が左膝の故障で長期離脱し、右脚裂傷のFW大迫は2戦連続ベンチ外。FW藤本、ボージャン、MF汰木の名前も18人の中になかった。コンディション不良は明らかで、攻撃の駒は底をついていた。

そこに前半終了間際、2トップで先発したMF佐々木が左大腿(だいたい)部裏を負傷して担架で運ばれた。2点を負う後半残り10分は、槙野と菊池のDFを前線に張り付かせ、パワープレーで対抗するしかなかった。ベンチにDFが3人も入ったことに、三浦監督は「藤本も元々、メンバー入りの状況だったが、直前に難しくなった。選手がいなかった」と嘆いた。

15日にACLプレーオフ(PO)を控え、MFイニエスタとサンペールの温存策に出たが、後半途中から投入する悪循環。POに勝てば4月開幕のACL1次リーグに進めるが、負ければ即、アジアNO・1の夢は終わる。

プロ3年目のFW小田は「死に物狂いでやりたい」と必勝を誓えば、三浦監督は「この難しい状況を乗り越えるのは我々次第。流れを引き寄せられるようにやっていきたい」。スター軍団の神戸が、瀬戸際に追い詰められた。【横田和幸】