アルビレックス新潟はツエーゲン金沢を1-0で破り、9年ぶりのホーム6連勝を飾った。前半30分、MF伊藤涼太郎(24)がMFイッペイ・シノヅカ(27)、FW谷口海斗(26)との連係から右足でゴールを奪った。後半は相手に押し込まれる時間も続いたが、DF田上大地(28)を中心にはね返し、無失点に抑えた。1万7721人のサポーターの前で接戦を制した新潟は今季初めて2位に浮上。首位の横浜FCに勝ち点3に迫った。次節8日もホームで、6位東京ヴェルディと対戦する。

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ホームスタジアムに駆けつけたファンを背番号13がどよめかせた。前半30分、伊藤はシノヅカとのワンツーでペナルティーエリアに進入。1度は相手にはじかれたが、こぼれ球を拾った谷口からのラストパスを丁寧に流し込んだ。「イメージを共有できた。多くのサポの前でやっと(ゴールが)取れてホッとしている」と、第5節ホーム甲府戦(3月19日、2-0)以来となる今季2得点目を喜んだ。

つかんだチャンスを逃さず、ものにした。日頃から納得するまで居残りシュート練習を繰り返す。意識することは1トラップからシュートに持ち込む速さとボールの回転。パスを受けた位置や状況に応じてシュートを巧みに変化させる。「今日はとっさにニアに切り替えた」と納得の表情で振り返った。

松橋力蔵監督(53)はスタジアムに向かう前のミーティングで「自分と対話してほしい」と選手に投げかけた。ここ数試合、自身のプレーにふがいなさを感じていた伊藤は言う。「自分と対話する機会はそうない。『なぜ自分が新潟に来たのか』『なぜJ1に昇格したいのか』。考えを整理したことが結果につながった」。

ここ数試合、ボランチとセンターバックの間を突かれる形からピンチを迎えていた守備もしっかりと修正した。運動量が落ちた終盤は押し込まれたが、選手間をコンパクトに保って対応。被シュート数を4本に抑え込んだ。田上は「思い通りの展開ではなくても、失点しなかったことは収穫」と胸を張る。

ホームでは7戦不敗で、ホーム連勝を9年ぶりに6に伸ばした。勝ち点は26となり、得失点差で仙台を抜き3位から2位に浮上。首位横浜FCも勝ち点3差にとらえた。中3日で迎える次節・東京V戦に向けて伊藤は「タフな試合になると思うが全員で力を合わせ、絶対に勝つ!」。【小林忠】

▼ホーム連勝記録 J2新潟がホーム6連勝。19年と21年に5連勝はあったが、6連勝以上はJ1時代の13年にクラブ最多の9連勝をマークして以来9年ぶり4度目。13年は就任2年目の柳下正明監督の下、J1で7位に躍進した。J2では反町康治監督時代の01年と03年に8連勝。01年は最終4位、03年は優勝してJ1昇格を決めた。