ヴィッセル神戸吉田孝行監督(45)は5日、6日のJ1リーグ第24節セレッソ大阪戦(ヨドコウ)に向けたオンライン取材に応じ、3日に新型コロナの陽性判定を受けて指揮が執れない、C大阪小菊昭雄監督(47)のことを思いやった。

「小菊さんは1つ上で高校時代にお世話になり、一緒に汗を流してきた仲間。プロという世界を経験せずに、ここまでC大阪一筋でやってこられているのは、彼の人間性と能力だと思う。本当に尊敬している」

2人は高校サッカーの名門・滝川二出身。吉田監督の1年上が小菊監督にあたり、約2年間、同じチームで青春時代を過ごした。ともに1年から公式戦に出場した共通点がある。

J1残留争い真っただ中の吉田監督は、まずは好調の4位C大阪に「挑戦者の気持ちで、思い切りぶつかっていきたい」と勝利だけを目指す。「神戸とC大阪ということで、クラブ対クラブの対決。そういう個人的なところは意識はしてはいけない」とも言う。

だが、心の片隅には人間性を含めてリスペクトする先輩との対戦は、以前から心待ちにしていた。

また、2人にとって人生の恩師にあたる黒田和生・滝川二当時監督(73)に、ヨドコウでの初対決を見せたかったようだ。

吉田監督は「そういう姿を黒田先生に見せたかったが、それは実現しなかった。ただ、そういうチャンスは他の大会でもある」とコメントした。

両クラブがベスト8まで勝ち残る天皇杯とルヴァン杯は、ともに勝ち進めば決勝で対戦できる。10月16日の天皇杯決勝(日産ス)と、同22日のルヴァン杯決勝(国立)だ。Jリーグでは珍しい1学年違いの先輩後輩監督対決実現へ、吉田監督は「多少は意識してしまいます」と、熱い胸の内を隠さなかった。