アビスパ福岡がホーム最終戦を勝利で飾り、14位に浮上した。残り1試合で、残留に向けて前進した。

前節まで16位だった清水エスパルスが敗れたことで、J2自動降格圏の17位以下はなくなった。

主将のMF前寛之(27)は「どこかしら(試合を)落とすと思い、自分たちが勝てば前進できると思っていた。残留へ近づく大きな1勝になった」と声をはずませた。

前半4分、チーム得点王のMF山岸祐也(29)が、DF志知孝明(28)の左クロスを右足で決めて、今季10ゴール目。クラブで初めて2ケタ得点をした日本人選手となった。

同44分、FWフアンマ・デルガド(31)が右クロスを頭で合わせて突き放した。2-0で折り返した。

しかし後半開始早々の2分に失点して、1点差に詰め寄られた。11試合連続失点となって、守備の課題は残ったが、なんとか逃げきった。

山岸は、11月5日の最終節、浦和レッズ戦に向けて「残留を達成して、いい形で1年を締めくくりたい」と前を向いた。

昨季は第32節を終えた時点で、残留が決定した。5年ごとにJ1で戦い、1年で降格するという「5年周期」の長い負の歴史を断ち切った。

今季は相手から研究されたこともあり、持ち味の堅守速攻が不発だった。さらに、7月下旬からの新型コロナウイルス集団感染の影響で選手のコンディションが上がらず、失速した。

9月の横浜F・マリノス戦では危険なプレーを行ったDF奈良竜樹に対する悪質なSNS投稿がされるなど、逆風続きだった。

そんな中で、残留争いに巻き込まれて前節まで15位と低迷。残り2戦で、自動降格圏の最下位ジュビロ磐田と勝ち点5差、17位ガンバ大阪と勝ち点2差。13位湘南ベルマーレからG大阪まで勝ち点差2の大混戦で、柏戦は勝敗次第で“天国か地獄”の違いがあった。

大きな勝利を手にして、浦和との最終戦に向かう。

◆J1残留争いの行方 最終節を残して最下位磐田の1年でのJ2降格が決定し、自動降格の残る1枠は15位G大阪、16位京都、17位清水の3チームの争いとなった。勝ち点33の清水は最終節の札幌戦で引き分け以下ならJ2降格となり、来季、史上初めてJ1から静岡県のチームが消えることになる。なお、13位湘南と14位福岡はJ1参入プレーオフに回る16位になる可能性が残っている。

【スコア速報】V決定は最終節へ