全国高校サッカー選手権新潟県大会の決勝が今日13日、デンカビッグスワンスタジアムで行われる。準優勝だった春の県総体に続き、決勝に勝ち上がった新潟明訓はFW高井乃海(のあ、3年)が攻撃をけん引する。今春に左サイドバックからFWにコンバートされると一気にブレーク。クイックネスを利かせたドリブルからのラストパスとミドルシュートで日本文理守備陣を手玉に取り、新潟明訓を7大会ぶり7度目の全国舞台に導くつもりだ。

ゴールに向かってグングン加速する高井が新潟明訓の攻撃に勢いをつける。「自分たちのサッカーができれば、絶対に勝てる。全国に進むのは俺たち」。日本文理との決勝に向けた7日の練習ではキレのある動きで何度もゴールネットを揺らし、坂本和也監督(37)に好調さをアピールした。

身長168センチと小柄ながら、前線でパスを収め、相手の懐に潜り込むようなドリブルから意表を突くプレーでチャンスをつくり出す。パンチ力のあるシュートも持ち味の1つ。日々の筋トレに加え、平日以外は新潟駅前の下宿先から片道10キロ離れている校舎までロードバイクで通い、下半身を強化した。「スピードを落とさず20分が目標設定。決勝でその成果を出したい」とニヤリと笑う。

延長戦までもつれ込んだ北越との準決勝(3日、3-2)はベンチスタートとなった。だが、1-2の後半17分に投入されると流れをがらっと変え、同点~勝ち越しのゲームの流れをつくった。「先発が一番だけど、どの時間帯からでもベストを尽くす。チームが勝つことが重要」。

モンテディオ山形JY庄内U-15の出身。中学3年時には複数の強豪校から誘いを受けたが、練習参加した新潟明訓への進学を自ら決断した。高校1、2年時は公式戦の出場はなかった。それでも今春にサイドバックからFWにコンバートされると一気に“開花”。出番を増やした。坂本監督は「独特なリズム、負けん気がある。人間性も兼ね備えたすばらしい選手」と評価する。

チームは夏合宿で、世代NO・1ストライカーといわれる福田師王やJ1のC大阪への来季加入が内定する大迫塁らを擁する強豪・神村学園(鹿児島)に2-1で勝利し、自信を深めた。「全国に明訓のサッカーを示すためにも、まだ負けられない」。勝利への強い思いを胸に高井はピッチを駆け回る。【小林忠】

◆高井乃海(たかい・のあ)2004年(平16)12月26日生まれ、山形県出身。3歳ごろからサッカーを始める。鶴岡・朝陽四小1~3年は暘光サッカー少年団、同4年~鶴岡四中ではモンテディオ山形JY庄内U-12、15に所属。中学3年時にはDF阿部飛祐、FW加藤柊斗(ともに現日本文理)、FW土門遥斗(現帝京長岡)らと日本クラブユース選手権(U-15)に出場した。168センチ、57キロ。利き足は右。