元北海道コンサドーレ札幌のFW石井謙伍(36=南葛SC)が、「新しい世界への挑戦」を胸に第2の人生をスタートさせる。札幌での9シーズンを含め、18年間にわたるプロ生活に区切りを付け、11月に現役引退を表明。IT関連業やスポーツ普及活動のほか、南葛SC、札幌などのスポンサーを集める外部営業担当も手掛けていく。

新たな1歩を踏み出す石井の表情は明るかった。今、決まっている未来は「独立して複数の事業を展開」「札幌や南葛SCのスポンサー営業」の2つだ。

石井 最後の3年間は、南葛SCの社員兼選手でした。飛び込みの法人営業もしましたし小学生にサッカーを教えたり、新しいグッズを企画したりもしました。現役の最後にこうした経験をさせていただいたことは本当にありがたかった。

社員でクラブに残る選択肢もあったが、南葛SCで営業として働く中で、多くの経営者やビジネスマンと関わった経験から「サッカー以外でもチャレンジしたい」という気持ちが強くなった。特に札幌とは今季開始から業務委託契約を締結。クラブへの貢献を図っており、来季も継続する予定だ。今季から札幌のリレーションシップパートナーに加わった“さっぽろワイン株式会社”など、石井が手掛け、札幌に紹介したスポンサーもすでに複数ある。U-18から通算12年所属した札幌への思いは特別だ。

石井 思い出のゴールはたくさんありますが、1番は07年の京都とのリーグ最終戦で決めたPK。「勝てば昇格が決まる」という試合の1-1の場面で、ペナルティーエリア内で自分が倒されて取ったPKを蹴らしてもらいました。ど真ん中に決めた後、札幌ドームの天井から降ってきた歓声は、忘れられません。

この時は最終的に京都に追いつかれ昇格を逃した。今も脳裏に残る当時の歓声と、札幌の天然芝ピッチの感触は、最終的な「独立」の決断につながっている。今後はIT関連や「子どもたちの夢をサポートする」事業も展開予定だ。

石井 自分で営業回りをすることで札幌の環境がどれだけ幸せで周囲に支えられていたのかを実感しました。北海道のみなさま、これまで温かい応援を本当にありがとうございました。

笑顔と感謝で、サッカー選手のキャリアに区切りを付けた。【中島洋尚】

◆石井謙伍(いしいけんご)1986年(昭61)4月2日、石狩市生まれ。札幌U18-札幌-愛媛-札幌-サムットサーコーンFC(タイ)-南葛SC。石狩花川南小3年でサッカーを始める。ADEAM SAPPORO FC-札幌U18を経て05年トップ昇格。U18ではプリンスリーグ北海道で2年連続得点王。05年リーグ最終節の草津戦でJ初得点。通算成績はJ1で13試合0得点、J2で309試合40得点。天皇杯2得点。178センチ、73キロ。家族は妻と長男。