全国高校サッカー選手権が、28日に東京・国立競技場で開幕する。ワールドカップ(W杯)カタール大会でドイツ、スペインを破った日本は新しいステージに向かう。今大会の注目ポイントを「次なる100年へ 新時代」と題して、5回連載。第1回は、来季ドイツ1部・ボルシアMGに加入する鹿児島・神村学園FW福田師王(しおう、3年)。26年W杯日本代表を目指す高校NO・1ストライカーが、FW大迫勇也が持つ1大会最多10得点の記録を目指して、出陣する。

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福田が、同じ鹿児島のレジェンド大迫超えで新時代を切り開く。全国制覇と得点王の快挙を狙っていく。

前回大会で「超さないといけない」と目指した大迫がもつ1大会最多10得点の記録。「ボールの持ち方だったり、背後に抜ける時のオフ(ボールがない時)の動きとか見ている」と大迫を参考にしてきた。野望を胸に臨み、初戦で1ゴールを決めたが、帝京長岡に2-3の打ち合いで敗れた。

その屈辱から1年。打点の高いヘッド、ゴール前でのダイレクトプレーと技術を進化させてきた。今月12日にはC大阪U18戦で決勝弾を決めて、チームを初のプレミアリーグ昇格に導いている。勝負強さも身につけて「チーム、個人としても成し遂げた自信がある。この勢いで選手権に臨み、結果を残し勝つことだけを意識したい」。昨年のリベンジに燃えている。

とことんまで追求するタイプだ。有村圭一郎監督(45)は、福田について「シュートは、それ以上打ったら、けがすると止めても突き詰めてやる。シュートが入るのは努力のたまもの」と明かす。母友美さん(43)は「筋肉にいいと聞いたものは口にして、タンパク質の摂取に気を使っていました。自分に対しストイックで、苦手なピーマンやトマトも食べていた」。両親にサッカー経験はなかったが、小学校では短距離、長距離ともに1番だった抜群の運動神経を、どんよくな姿勢で磨き上げてきた。

「師王」の名前は「人を導くことのできる、その道で最も優れた人になってほしい」という両親の願いが込められている。高卒からダイレクトの海外挑戦は険しい道だが、パイオニアとなって26年W杯を目指す覚悟。初戦は31日の山梨学院戦。まずは「優勝して得点王になりたい」という目標を達成し、ドイツに向かって羽ばたく。【菊川光一】

◆福田師王(ふくだ・しおう)2004年(平16)4月8日、鹿児島県鹿屋市生まれ。大姶良小1年からサッカーを始め、神村学園中-神村学園高。1年からレギュラーで全国高校選手権は2年連続優秀選手。2年の高校総体では8強進出、5得点で青森山田MF松木(現東京)とともに得点王。U-19日本代表候補にも飛び級選出。利き足は右。目標はFWレバンドフスキ。好きな食べ物はチキン南蛮。178センチ、70キロ。