新たな100年に向けた101回目の選手権が東京・国立競技場で開幕し、17年ぶり3回目の出場となった成立学園(東京B)が津工(三重)を3-2と振り切り、今大会1番星を手にした。スカウティング通り相手のサイド裏を突くプレーから先制点を奪うと、自慢のパスサッカーがさえて3点を連取。最後は1点差に詰められながらも19年ぶりの全国1勝をつかんだ。

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分析通りだった。三重県予選無失点、堅守の津工を崩した。前半30分。右サイドから大きく左へサイドチェンジすると、左サイドバックの瀧川が高い位置へ駆け上がりグラウンダーのクロス。司令塔のMF陣田が味方のシュートのこぼれ球に詰め、先制点を挙げた。陣田は「瀧川がえぐったので、(ボールが)来たらおいしいなとゴール前に入った。結果的に大会1号がおまけとしてついてきた」。

パスサッカーを駆使し、主導権を握るスタイルだ。あまり相手を意識しすぎないようミーティングで相手のスカウティングはしない。だが大事な試合前には必ず、山本監督が相手の特長を簡潔にまとめたボードを目につく場所に置く。

今回の試合前も、津工の布陣とともに、先発予想選手の名前と利き足などの特長を書いたボードが置かれていた。狙いとして「3バックが中央にしぼるので両サイドのスペースが空いてくる。サイドチェンジが有効的」と記されていた。まさに、狙い通りの展開からゴールを仕留めた。

終始主導権を握り、シュート数は相手の5本に対し15本。一時は3-0とリードしたが、2失点と結果はヒヤヒヤの勝利だった。陣田は「4点目を取りに行くのか、守るのか、意思統一ができていなかった。都大会でも準決勝、決勝と追い上げられている。ゲーム運びが課題。自分が仕切れれば良かった」と猛省した。

一方で華麗なパスサッカーを披露。「技術とインテリジェンスがそろうサッカーができるのが自分たち。内容は良かったけど2失点で望んだ結果ではなかった。これから相手も強くなる。しっかり準備して、また国立に帰ってきたい」と話し、日本文理(新潟)と立正大淞南(島根)の勝者と対戦する2回戦を見据えた。【岩田千代巳】

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