4大会連続14度目出場の常葉大橘(東海2位=静岡)が柳ケ浦(九州2位=大分)を4-1で下し、7大会ぶりに初戦を突破した。FW伊藤琴音(3年)が先制点を含む1得点1アシストを記録し、勝利に貢献した。19大会連続19度目出場の藤枝順心(東海1位=静岡)も、帝京長岡(北信越3位=新潟)に4-0で快勝。2校は、31日に行われる2回戦で激突する。

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常葉大橘の伊藤琴が、道を切り開いた。0-0の前半7分。ゴールやや左の位置でMF浅倉悠里奈(1年)のスルーパスに抜け出した。「最初のシュート。迷いはなかった。思い切って枠に飛ばすことを考えた」。思い切り左足を振り抜くと、シュートは逆サイドネットに決まった。「本当にうれしかった」。駆け寄る仲間と何度も抱き合った。

1年前に流した悔し涙が原動力だった。主力として出場予定だった前回大会、直前の練習で右膝前十字靱帯(じんたい)を断裂。松葉づえをついて帯同したが、外から見守ることしかできなかった。「すごく悔しかった。(今年)9月の復帰までも長かった。その分、絶対にやってやろうという思いだった」。貴重な先制点に加え、後半2分には2点目をアシスト。2年分の思いを込めた雪辱のピッチでヒロインになった。

2点の先行に成功したチームは躍動。最後まで攻撃の手を緩めず、4点を奪った。シュート数でも相手の3倍となる15本と圧倒。直近3大会連続でPK戦負けを喫していた“鬼門”の初戦を快勝で突破した。伊藤琴は「チームに良い雰囲気をもたらせて良かった」と、声を弾ませた。

2回戦は、藤枝順心との“静岡ダービー”となった。今季1度も勝利のない強敵だ。それでも、伊藤琴は「チャンスはある。そこでしっかり決めきって勝ちたい」と、頼もしい言葉を並べた。好発進した背番号「9」が、次もチームを勝利に導く。【前田和哉】

<藤枝順心4-0帝京長岡>◇30日◇1回戦◇みきぼうパークひょうご第1球技場

藤枝順心が2大会ぶり6度目の全国制覇に向け、順調なスタートを切った。来季、なでしこ1部リーグ・伊賀に加入内定のFW正野瑠菜(3年)が先制点を含む2得点をマークするなど躍動。帝京長岡を4-0で一蹴した。正野は「3年間の集大成としてプレーしている。点を取って勝てたことは良かったけど、雑なプレーもあった。もっと精度を上げたい」と気を緩めず、常葉大橘戦を見据えた。