覚悟を胸に、おとこ気で突き進む。捲土(けんど)重来を期すJ2ベガルタ仙台FW中島元彦(23)が、19日の開幕・FC町田ゼルビア戦(Gスタ)を前に熱い思いを吐露した。昨季シーズン途中、セレッソ大阪から期限付き移籍で加入。4ゴール、7アシストをマークしたが、満足いく結果とはほど遠く、チームも7位に沈んだ。今季はJ1、海外でプレーする選択肢もあったが、仙台残留を決断。サポーターの期待に応え、使命を果たすために-。新背番号「7」を背負い「J2優勝&J1昇格」の使者となる。

このままでは終われない。この1年、中島は覚悟を結果と行動で示す。

「自分が主軸でやらないといけない。チーム内でもそうですが、攻撃と守備で対戦相手からも一目置かれるような選手にならないといけない」

誰よりも責任感を胸に刻んでいる。昨季はJ2降格初年度7位とチームは低迷。シーズン途中に首位に立ったが、夏場以降に大失速しプレーオフ(PO)進出すら逃した。「(前半は)良い流れでプレーできて結果と順位が伴っていただけに、後半の失速は仙台のサポーターも自分たちもメンタルがしんどかった。正直、悔しかった」と唇をかむ。8月13日から最終節までの12試合で5連敗、3連敗を喫するなど歯止めが利かなかった。悪循環を断ち切れず、勝ち点「3」が遠かった。

「1度悪いイメージがついてしまうと、先制点を取られた後、空気感がどうしてもマイナス方向へいってしまう。そこを打開するために、自分が得点、アシストできる選手にならないと…。もう1つ上のステージには上がれない」

チームが苦しい時こそ、流れを変えるプレーにこだわり、主力としての責務を全うしていく。

不完全燃焼のままチームを去ることはできなかった。昨季途中、期限付き移籍で加入。今季の去就は? 中島に迷いはなかった。

「クラブ、(伊藤彰)監督だけじゃなく、サポーターの声援が自分を必要としてくれていた。仙台でもう1年プレーして、クラブを上(J1)に上げたいという強い意志が芽生えた」

C大阪を含むJ1、海外でプレーする選択肢もあったがチーム残留を決断した。仙台の町を歩けば「残ってくれよ!」とサポーターから声をかけられた。 「正直(心に)グッときた。昨季は主軸でやらせてもらったのに、納得のいかない1年で後悔もあった。モヤモヤしたままで、違うチームにいっても後悔すると思った。今年はそれを振り払わないといけない」

新しい背番号は「7」を背負う。「レンタルの選手なので『何番でも良い』と言っていたが提示されたのが7番。やはり重みを感じた。2、3回は断った」と明かす。仙台の「7」番はクラブを象徴する選手がつけてきた名誉ある番号。期限付き移籍の選手が背負うのは異例かもしれないが、それほど中島に対する期待は大きい。

「期待は感じています。今年1年はそれを背負って戦ってこそ、自分自身、1ランク上の選手になれると思う。壁は大きいけど、そこに挑戦できれば良い」。プレッシャーを力に変え、ピッチに立つ。

J2降格2年目の今シーズン。リーグ優勝による「J1昇格」は至上命令だ。「優勝チームや昇格チームには得点王、アシスト王を取る選手がやはり必要になる。自分が10ゴール、10アシストできれば、チームはおのずと上位にいける。結果だけにこだわりすぎると、目先のプレーが良くないので、1試合1試合を丁寧に自分の出せる限界を出していく」と言い切った。

「J2優勝&J1昇格」を成し遂げるために中島の真価が問われる。【佐藤究】

◆中島元彦(なかじま・もとひこ)1999年(平11)4月18日生まれ、大阪府出身。U-16、17、18、19日本代表。C大阪の下部組織で育ち、18年からトップチームに昇格。20年7月新潟に加入し、35試合5得点・21年C大阪で12試合2得点。22年4月から仙台に加入した。170センチ、66キロ。