J2モンテディオ山形が5日、天童市内で新監督就任会見を行った。前日4日、ピーター・クラモフスキー監督(44)の契約を解除、渡辺晋コーチ(49)の監督就任が発表され、新指揮官が再起に向けて決意を新たにした。チームは現在5連敗中で18位。4月上旬に大きな決断をしたクラブの要請を受け、残り35試合を全力で戦い抜く。渡辺体制の初陣は8日、アウェー大宮戦となる。

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グレーのスーツ姿で会見場に現れた渡辺監督は言葉に力を込めた。監督就任の要請を受けたものの、コーチとして携わっていた、低迷するチーム成績に責任を感じ、「短い時間の中で悩みに悩み抜いた」と明かした。そんな時に浮かんだのが、2日ホーム水戸戦後の選手の表情や無念の叫びだった。

「自分がここから逃げるわけにはいかない。目の前にいる選手たちを何とか引き上げていかなければいけないと…。そのような思いに勝るものはありませんでした。これからモンテディオ山形のために精いっぱい力を尽くしていきたい」

チームは今季、クラブ史上初の開幕2連勝を飾り、幸先良いスタートを切ったが、3月4日アウェー磐田戦から5連敗。勝ち点は1カ月もの間「6」のまま、順位は18位まで落ちた。昨季も7節が終了して1勝3分け3敗の勝ち点「6」と同じだが、現在の状況はさらに深刻を極める。相田健太郎社長(48)は「状況を打破するにはこの形がベスト。クラブとして渡辺新監督を精いっぱいフォローし、私たちが行きたい場所に行けるよう頑張っていきたい」と誓った。

チームは7試合連続失点中で、リーグワースト12失点。浮上には、守備面の改善が必須となる。クラブが掲げるのは、前線にボールを運んでいく「主導権を握るサッカー」だが、今は理想を語る余裕も時間もない。渡辺監督は「時間がないからこそ、よりシンプルに。今のチームにはそのシンプルさが求められていると思う。時間がないことをポジティブに捉えて大宮戦に向かいたい」。仙台、山口で監督を歴任した経験豊富な指揮官に山形の命運が託された。【相沢孔志】

 

◆渡辺晋(わたなべ・すすむ)1973年(昭48)10月10日生まれ、東京都出身。現役時代は主にセンターバック。桐蔭学園(神奈川)、駒大を経て96年に札幌入団。甲府、仙台でプレー後、04年に現役引退。下部組織の指導者を経て、08年から仙台コーチ。14年4月~19年同監督。21年~同年9月まで山口監督。22年1月から山形コーチ。23年4月から同監督就任。

 

ピーター・クラモフスキー前監督 永遠に残る記憶とともにモンテディオ山形を去ります。昨シーズンの終盤、フィールドではうれし涙があふれ、鳥肌が立った素晴らしい光景は私の心に永遠に残るでしょう。今は全選手が勝者となり、さらなる成功を追い続けるために成長している過程にあると思っています。クラブ関係者の皆さま、選手、スタッフ、我々たちを応援し続けてくれた素晴らしいサポーターに心から感謝しています。