上越が北越を4-0で破り、県総体初の4強進出を果たした。FW今井律杜(3年)が前半13分に先制点を決めると、後半9分には右クロスを左足で合わせ、この日2得点目を奪う。エースの躍動でペースを握った上越はさらに2点を加点した。守備もGK伊海央祐とDF星野秀斗(ともに3年)を中心に無失点に抑えた。3日の準決勝は長岡大手に12-1で大勝した前回大会覇者の帝京長岡と対戦する。

 

目覚めたエースの2発で上越が新たなページをめくった。前半13分。今井はFW石戸のスルーパスに抜け出すと、右足シュートを冷静に沈めて先制点を奪う。後半9分には望月の右クロスを左足ダイレクトでチームを勢いづかせる貴重な追加点を挙げた。「チームの歴史を塗り替えることができた。うれしい」と自身今大会初得点が、初の4強を決めたことを喜んだ。

下部組織の上越春日FCや県内外のクラブチーム出身者が集う中、今井は数少ない中体連(直江津中)出身。ゴールに向かう嗅覚に加え、身長186センチ、体重72キロのサイズを生かしたポストワークで攻撃をけん引した。元Jリーガーの藤川祐司監督(35)に憧れ、上越に進んだ。「監督の言葉は常に心に刺さる。ここに来て良かったし、ここでもっと成長したい」。

守備陣も奮闘。攻撃力ある北越を無失点に抑えた。GK伊海は高1の冬にJ1クラブの練習に参加。「プロに受けたシュートの残像を日々の練習に生かしている」。センターバックの星野は相手FWの自由を完全に奪った。「伊海がうしろにいてくれるので心強い。次も全員で無失点に抑えたい」と力を込めた。

攻守がガッチリとかみ合う上越は準決勝で王者・帝京長岡に挑む。連続ゴールを狙う今井は「自分たちに失うものは何もない。2点決めて絶対に勝ちます!」。【小林忠】

 

 

○…帝京長岡は12-1で長岡大手を下した。FW野村塁生(3年)が5得点で連覇を狙うチームを大勝に導いた。4週間前に左膝を脱臼したが、サポーターを巻いてフル出場。「休むより出場したい気持ちが勝って」と笑ったが、持ち味のドリブルや両足から放たれるパンチ力のあるシュートで存在感を示した。「部員が140人以上いるので毎試合がアピール。1分1秒、無駄に出来ない」と言う。準決勝は勢いづく上越と対戦。「中盤でのボール争いで勝り、ゴールに向かう。自分たちのサッカーでのみ込み、決勝に進む」と力強かった。