Y.S.C.C横浜の「黒手袋の男」FW福田翔生(22)の勢いが止まらない。

愛媛FCを相手にハットトリックを決め、逆転勝ち。福田は今季ゴール数を10得点(13試合)とし、暫定ながら得点ランキングのトップに立った。3試合連発。直近8試合で9得点という量産ぶりで、チームも8試合負けなしとなった。

まず前半2分、ペナルティーエリア内でボールを受けると、細かくドリブルで持ち込み右足で流し込んだ。福田は3試合連続のゴールで今季8得点目。好調のチームに弾みをつけた。

だが前半25分、後半26分とリーグ上位に付ける愛媛に得点を許し、試合は1-2とひっくり返されてしまった。そして試合もロスタイムに入り万事休す。そう思われた中、YS横浜には福田がいた。

アディショナルタイム4分に味方選手が倒されてPKを獲得すると、これをゴール左上へ冷静に同点ゴールを決めた。この時点で後半50分。これだけで終わらない。

同点から2分後の後半52分、まさにラストプレーだった。味方が相手DFラインの裏へと大きく蹴り込んだパスに鋭く走り込み、いち早くボールを拾い、右足で決勝ゴールを奪ってみせた。

先制点に始まり、神懸かり的な土壇場での2ゴール。大好きな祖母からプレゼントされた黒手袋を夏場でも着用し、3得点とこの日もゴールを量産してみせた。

東福岡高からFC今治に入団し、昨季までJ3で33試合に出場して無得点だった。それがYS横浜へ移籍すると同時に、ストライカーとして変貌を遂げた。

そのポテンシャルの高さには、松井大輔コーチ兼選手も「化ける」と予言。そのシーズン当初の言葉が、現実のものとなっている。

人生初のハットトリックに「貪欲にゴールは狙っていました。PKを取れたら次も取れると思っていました。最高の試合になりました」と喜びを抑えられない。この日の警告で累積4枚となり、次戦(18日・アスルクラロ沼津)は出場停止。それでも「また気持ちを切り替えて、1試合、1試合、ゴールを取ることに集中したい」と意気込んだ。

兄はガンバ大阪に所属するMF福田湧矢。「いつか兄と一緒にプレーしたい」と同じJ1入りを目指す。この神懸かり的な活躍が続けば、個人昇格は現実のものとなりそうだ。【佐藤隆志】