Jリーグの野々村芳和チェアマン(51)が23日、東京・新宿区役所で、JFL所属のクリアソン新宿に関するJリーグ入会審査の一環としてヒアリングを行った。

現在JFL8位のクリアソン新宿は、9月26日に東京23区のクラブとして初めてJ3クラブライセンス申請が承認されたばかり。ヒアリングを終えた野々村チェアマンは「ぼくの感覚としては、すごくいいコミュニケーションがとれているクラブと地域だなという風に感じました」とうなずいた。

一方で、同クラブはホームスタジアムを所有していない「ホームスタジアム問題」がある。今回、23区内でJリーグの開催実績がある国立競技場、味の素フィールド西が丘を一定水準利用するめどが立ち、23区という地域の特性や可能性も込みで、今回「特例」でライセンスが承認される形となった。

野々村チェアマンは、「課題をこれからどう解決していくのかについても、アイデアベースではありますが、いくつか出ていましたし、今なんとかしようということだけでなく、根本的にこの先いろんなことを変えていこうという話が聞けたので、少し安心しているところではあります」と話した。

23区内にJクラブが誕生する意義について問われると、「東京23区って人も多くて、いろんな可能性を感じるかもしれないですけど、サッカークラブを作るって、スタジアムの問題も含めてすごく難しいと思うんですよね」と言及。その上で、「そのエリアで地元の人と協力しながら、このクラブが成功すると、東京都内にも同じようにチャレンジしたいって思ってるクラブって結構あるじゃないですか。そういうクラブへの勇気にもなるし、地方とはまた違った意味ですごく難しいエリアなので、だからこそ今まで出てこなかったのかもしれないですけど、このエリアがサッカーで盛り上がっていくというのは、日本全体のサッカーにとってもすごく大事なことだと思うので、期待しています」と続けた。

Jリーグ昇格には、JFLで2位以内に入る必要がある。2位ソニー仙台とは、勝ち点差8と開きがある。クリアソン新宿の丸山和大代表は、「叱咤(しった)激励の言葉をいただき、身が引き締まる思いです。まだまだ足りないだらけの存在で、結果の方も、今Jリーグ昇格に向けて、なんとか小指がギリギリかかっているような状況の中で、このような場にいることは本当にクラブとしてはやっぱり力をつけていかなければいけないなという風に大変感じております」と気を引き締めていた。