横浜F・マリノスが、生きるか死ぬかの死闘を制した。ホームで蔚山現代(韓国)に延長を終えて3-2。2戦合計3-3と決着がつかず、PK戦の末に勝利した。

前半39分に決定機阻止でDF上島拓巳が退場処分となる不運に見舞われたが、雨中の激闘を制した。決勝(5月11日ホーム、26日アウェー)ではアルアイン(UAE)と対戦する。

開始から横浜が攻勢をかけた。前半13分、早々に先制した。FWヤン・マテウスが中央へパスを送ると、FWアンデルソン・ロペスがスルー。MFナム・テヒの足元に渡ったボールがゴール前にこぼれた。すかさずMF植中朝日が拾い、右足でゴールを奪った。

続けて前半21分、ヤン・マテウス、エウベルが細かくパスをつなぎ、A・ロペスへ。これをエースが左足で正確にゴール右隅に蹴り込み、2-0。2戦合計でも2-1と勝ち越しに成功した。

さらに後半30分、植中が豪快なゴールを奪った。MFナム・テヒのパスを受けた植中が巧みなターンで前を向き、エリア手前から右足を振り抜く。これがゴール右に決まった。植中の2得点で3-0、完全な横浜ペースとなった。

しかしKリーグ2連覇中の蔚山現代の反撃に遭う。前半36分、右CKからMFマテウスに頭で合わせられ1点を返される。そして思わぬ事態に起きた。同39分、相手のドリブル突破を止めようとしたDF上島拓巳がスライディング。切り返したボールが手に当たり、決定機阻止でハンドの反則を取られた。同時に一発レッドでの退場処分。数的不利となる中、このPKをMFボヤニッチに決められて3-2。2戦合計でも3-3の振り出しに戻った。

10人で戦う横浜は後半、エウベルを下げてDFエドゥアルドを投入。ナム・テヒに代わってMF山根陸もピッチに送った。

後半2分、さらに1点を奪われた。蔚山現代にゴール前まで押し込まれると、MFボヤニッチに右足でゴールを奪われた。しかしVARで、GKポープ・ウィリアムの前に立っていた選手がシュートセーブを制限したと判断。オフサイドの判定でノーゴールとなった。横浜はVARに救われた。

その後も数的不利の中、押し込まれる展開が続く。後半11分にはゴール前で突破を許し1対1となるピンチがあったが、ポープが相手シュートを体に当てて防いだ。

後半17分、2得点と大活躍の植中を下げてDF加藤蓮を投入。そして直後に横浜のゴールが決まった。

DF永戸勝也が左サイドからゴール前のファーポスト際にクロスを送ると、ヤン・マテウスが頭で押し込んだ。勝ち越し点にスタジアムは歓喜の声が上がったが、VARでヤン・マテウスの飛び出しが早くオフサイドと判定。ノーゴールとなった。

そして勝負が決まる次の1点に向け、横浜は動いた。後半36分、ヤン・マテウスに代えてスピードスターFW宮市亮、MF榊原彗悟から決定的な仕事ができるMF水沼宏太を送った。

後半43分、ニアサイドで合わせた相手のシュートが左ポストを叩いた。押し込まれる展開が続くが、サポーターの力強い歌声に励まされ懸命に耐えた。アデショナルタイムは7分。ゴール前にクギ付けにされる。防戦一方。ひたすらクリアする。両チーム決定打がなく延長戦に突入した。

延長戦も自陣に引き込み、カウンターのチャンスをうかがう。押し込まれる中で冷静に対応。むやみに仕掛けず、セーフティーに戦い時間を進めた。前半終了間際に最後の交代カードとして永戸を下げてMF天野純をピッチに送った。

ともに運動量が落ちた後半3分、カウンターから水沼がシュート。ニアサイドを突いたがGKの好セーブに遭いCKへ。CKを起点に右サイドからクロスボールが入る。ゴール前で宮市が懸命に左足から飛び込んだが、つま先にわずかに当たりゴール外へ転がった。

延長後半9分には蔚山現代に決定的なシュートを打たれるが、GKポープが指先でスーパーセーブ。ボールは左ポストに当たって外に出た。そのCKからシュートを放たれ、さらにこぼれ球を押し込まれたが、これもオフサイドでノーゴール。崖っぷちに立たされた状況で必死に耐えた。続けて同14分にもCKから決定的なシュートを打たれたが、これもゴール右へわずかに外れた。

延長後半アディショナルタイム。右サイドからA・ロペスが速いクロスを入れ、ファーサイドで宮市が狙ったがボールに届かず。死力を尽くした一戦はPK戦に持ち込まれた。

そしてPK戦。横浜はGKポープが集中力を研ぎ澄まし、スーパーセーブを連発。ACL史上に残る激闘を制した。

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