<J1:G大阪2-1名古屋>◇第10節◇3日◇豊田ス

 G大阪が執念の守備で2-1と名古屋を破り、5試合ぶりの白星をつかみ取った。前半24分にFWバレー(26)が先制したが同33分に追いつかれ、後半は防戦一方。バレーが後半24分に勝ち越し弾を決めた後は、看板の攻撃を度外視して泥臭く守り切った。ACLとの過密日程で疲労がピークに達する中、連敗を2でストップ。

 最後はフラフラになっていた。それでも、粘った。G大阪らしい華麗な攻撃はどこにもない。ピクシー名古屋のサイド攻撃で自陣にくぎづけにされた。ロスタイム3分間の猛攻にも耐え、歓喜の笛。4月5日清水戦以来1カ月ぶりの勝利は、執念でもぎとった。

 攻撃サッカーのプライドを捨てた。2-1と勝ち越した後は、後半32分に左サイドバックにDF水本が守備固めで投入された。今季4度目の途中出場で最も早い時間に、水本も「後半35分をすぎてからだと思っていた」と驚いた。何が何でも逃げ切れ-。西野監督が送ったキャッチフレーズの「超攻撃」ならぬ「超守備」のメッセージに、全員が呼応した。

 3月8日のJ開幕から2カ月足らずで、もう14試合目。西野監督は「コンディションがかなり…」と声を絞り出した。疲労のため主力の体はボロボロだ。この日は明神が直訴して欠場。リーグ戦とACLで全14試合にフル出場中の遠藤も、西野監督に欠場が可能か打診していたほど。理想を追い求める余裕はなかった。

 20歳の安田理でさえ「ホンマに疲れた。これでまた、明日からタイか…」とつぶやいた。4日には7日のACLチョンブリ戦に向け、バンコクへ出発する。西野監督は「コンディションが戻れば内容はよくなる」と話したが、ACLとJ制覇を目指す以上、過密日程から逃れられない。不格好でも構わない。泥臭さを武器に、G大阪が前進する。【北村泰彦】