コンサドーレ札幌がMFクライトン(30)と来季契約を更新したと18日、発表した。J2降格に伴い、他クラブへの移籍が確実視されていたが、高額な年俸などから、交渉は不調に終わった。もともと、その能力を高く評価する札幌からの残留要請に応えた格好となった。来季はU-23ブラジル代表歴のある新外国人FWキリノ(23)、正式発表間近の元コロンビア代表MFコルドバ(22)との豪華布陣で、1年でのJ1復帰を目指す。

 今季札幌の攻撃の中心を務めたクライトンが、来季も赤黒のユニホームを身にまとう。この日、来季契約の更新が決まり、クラブを通じて「今季は目標を達成できず悔しい思いをした。09年こそ皆さんの期待に応えられる活躍を見せたい」と力強くコメントした。

 当初は他クラブへの移籍が確実視されていた。J2降格も決まり、代理人や札幌側にはJ1数クラブから獲得の打診があった。しかし推定3000万円の年俸に加え、30歳という年齢もあり、今季を大きく上回るような好条件の提示はなかったもよう。対して札幌は三上大勝強化部長が「来季の構想に入れていた」というように、今年度並みの条件で契約延長交渉に臨み、最後はその思いに応えた格好だ。

 クライトン自身、残留への思いが強かったのも好材料だった。11月26日、父カルロスさん(57)が心臓発作で倒れ、ブラジルに緊急帰国する際「来年も札幌でプレーしたい」と言い残した。交渉中も「10万ドル(約900万円)高いクラブがあっても札幌を選ぶ」と言ったほど。希望がかない「来季もプレーできてうれしく思う」と喜びを口にした。

 1年でのJ1復帰を狙う来季、中核となる戦力は整った。クライトンの能力は今季、証明済み。ブラジルで各年代の代表歴のあるFWキリノと、元コロンビア代表で獲得間近のMFコルドバが前評判通りに活躍すれば、攻撃力はJ2トップクラスとなる。監督就任が確実な石崎信弘氏(50)がどんなシステムで臨むかは未知数だが、コルドバとのダブルボランチ、前めの位置でのゲームメークなど、多彩な能力は大きな武器になる。

 来年1月18日のキックオフイベント前に来日し、21日からのグアムキャンプにも初日から帯同予定。急きょ加入が決まった今季とは違い、万全の態勢で臨める来季、さらなる活躍が期待される。