群馬の男は赤城おろしの前でも、半袖だんべぇ!?

 東京は24日、群馬・正田醤油スタジアムでJ2群馬とプレシーズンマッチを行った。実戦から遠ざかっていた日本代表MF高橋秀人(25)は、途中出場で4戦ぶりに実戦復帰した。しかし、その姿は気温2度で北風が吹き付ける中でも、ただ1人半袖。自らを奮い立たせることに加え、自身と同様に前橋から代表選手になった男に対抗してのもの。地元で力強く宣言した。

 見ているこっちが寒くなる。赤城山から吹き下ろす空っ風に負けじと、後半開始から出場した高橋は半袖姿で地元・前橋のピッチに立った。気温2度、強い北風吹き付けるグラウンドには、自軍も敵軍も1人もいなかった。アンダーウエアさえ着ずに白い肌をキラリと輝かせ「寒い方が『体を動かさないといけない』となるし、寒さに負けてはいけないから」と序盤はボランチで、途中から3バックの一角として後方から精度の高いパスを配給。安定感のあるプレーを披露した。

 周囲に気づかれることなく、ひそかに続けてきたポリシーだった。「J2だった2年前(11年)の途中から半袖にして、たぶんそこから1度も着ていません」。その理由は、シンプルだ。この日、戦った前橋において、母校・前橋商と長きにわたりライバル関係である前橋育英から出た、1歳年上の日本代表選手にあった。「(レーバークーゼンMF)細貝萌が常に長袖なら、高橋秀人はいつも半袖!

 これからもたぶん着ません」。力強く、堂々たる宣言をした。

 ゲームは正田醤油スタジアムの名物「赤城おろし」に苦しめられた。風下の前半、強風を見越してグラウンダーのパスで回そうにも、体さえも押し戻されるほどだった。逆に高橋が入った後半は赤城おろしを背に受け、優勢に試合を進めて決勝点も生まれた。Jリーグ開幕前、最後の実戦を勝利で締めくくると、試合後は前橋商サッカー部の後輩たちが、サインを求めて長蛇の列。どうだ、これが赤城おろしで鍛えられプロの世界で戦う姿だ-。地元・前橋で、最高の“勇姿”を見せつけた。【栗田成芳】