渦潮軍団・徳島が、四国勢初のJ1昇格に王手をかけた。前半37分にFWドウグラス(25)のPKで先制しながら、3分後には追いつかれる苦しい展開。それでも全員守備で逆転は許さず1-1の引き分けに持ち込んだ。年間順位4位で、同5位の千葉を上回っているため決勝進出。初のJ1をかけ、8日の決勝戦(国立)で同3位の京都と対決する。

 ♪チチン、カラリン、チン、カラリン♪

 ぞめき囃子(ばやし)の音色が、会場に響く。季節外れの阿波おどりが催されているかのように、徳島はお祭りムードに沸いた。悲願のJ1昇格へあと1勝だ。ヒーローはいない。まさに名物・鳴門の渦潮のようにチームが1つになって大きな力となり、ここまではい上がってきた。最終ラインを支えたDF橋内の言葉は印象的だ。

 「強いチームではない。全員で走って、全員で守って、全員で攻める。今日も苦しい時間が長かった。でも最後まで諦めない、伸二さん(小林監督)のサッカーが成果として出た」

 無名の雑草集団には夢がある。四国勢初のJ1昇格!

 まだプレーオフが実施されず、上位3クラブがJ1自動昇格した2年前。昇格の可能性を残して臨んだ最終節に敗れて4位となり、目の前で夢は散った。「今度こそ!」の思いはチーム内に浸透。この日も決勝進出を執念でつかんだ。前半35分にMF浜田の絶妙スルーパスを受けたFW津田が倒されPKを獲得。それをドウグラスが決めて先制するも、3分後には同点に追いつかれた。その後は、まるで魂が乗り移ったかのように全員で守りきった。

 悲願に王手をかけた。エースFW津田知宏(27)は「2年前は悔しい思いをした。サッカーをして、あんなに悔しい思いをしたことはない。それをぶつける、最高の舞台に立てる。ゴールを取りたい」と武者震いした。MF斉藤主将は「負けない、粘り強い試合ができた。次も全員で戦う」と宣言。決勝はリーグ3位の京都。年間順位で下回っており、京都には勝つしかない。渦潮軍団が、命運をかけた大一番に挑む。【益子浩一】