【ドーハ(カタール)6日】ワールドカップ(W杯)カタール大会で、日本(FIFAランキング24位)は5日(日本時間6日)の決勝トーナメント1回戦でクロアチア(同12位)に1-1からのPK戦で1-3と敗れ、目標とした初の8強入りを逃した。森保一監督(54)が一夜明けて取材対応し、今後について初めて言及。日本協会が続投オファーを出すことが確実視される中、前向きな姿勢を見せた。チームは解散し、一部選手が帰国の途についた。

    ◇    ◇    ◇

PK戦にもつれ込むクロアチアとの激闘を終えた森保監督は、一夜明けて、晴れやかな表情を浮かべていた。ドーハでの日本代表の拠点で取材対応。日本代表を率いた4年半を振り返り、監督業について「クレージージョブと言われるが、幸せな仕事」と語った。

勝負の夜が明け、目が覚めた。「何が足りなかったのか探していた」。日本サッカーを成長させたい一心で突き進んできた。戦いを終えてもその思いは同じ。染みついた思考は、W杯に1つの区切りがついても消えなかった。

目標に掲げていた日本代表史上初のベスト8進出はならなかったものの、1次リーグでドイツ、スペインという強豪国を撃破。「優勝経験のある国にも勝てるという、“新しい景色”を見ることはできた」と歴史的勝利を振り返った。

E組を首位通過。前回大会準優勝のクロアチアに対しても、先制し、120分を戦い抜いた。勝利まであと1歩のところに迫った。日本協会は手腕を高く評価しており、すでに続投のオファーを出すことが確実な状況。契約年数も2年で調整を始めている。

森保監督は、今後また4年間やりたいかと問われると「監督業を続けていこうかなという気持ちもあるし、少し間を置いて、欧州へ勉強にいくことも考えていました。まだ現実的な話は、まったくしていないので、これから考えたい」と笑みも浮かべながら話した。その上で、現状は前向きかと重ねて聞かれると「そうですね、はい」と返答した。

「代表というすばらしい環境で監督をさせてもらい、成長させてもらった。もっともっと成長したい思いと、日本サッカーに貢献したい思いはある。そこは流れに沿っていきたい」

東京五輪との兼任監督という大仕事をこなし、今大会で得点したMF堂安、MF田中、FW前田などをW杯の舞台に立たせた。26年W杯に向けた礎を築くことにも成功。8強に近づいたからこそ、課題も誰よりも理解している。日本サッカーをさらに向上させたい-。指揮官の心の火は、燃え続けている。