試合後のスタンドに駆け寄るフランスFWキリアン・エムバペ(23=パリ・サンジェルマン)は、着慣れた青いユニホームではなく、いそいそと赤いユニホームを着ていた。背番号は「2」。パリ・サンジェルマンの同僚で、友であるモロッコDFアクラフ・ハキミ(24)のものだった。

この日、エムバペは2アシストの活躍。連覇へあと1勝とした喜びとともに、気にかけたのはハキミの様子。勝敗が決まった後のピッチには、2人が抱き合う姿があった。

その後、エムバペは自身のインスタグラムを更新。2人がハグする写真とともに、友にメッセージを送った。「悲しまないで。みんな君がしたことを誇りに思っている。君は歴史をつくった」

昨季、ハキミがPSGへ移籍してから、ゴールパフォーマンスを一緒に考えるなど仲を深めた。ハキミが24歳の誕生日を迎えた先月4日は、笑顔の2ショット写真とともに「特別な人にとって特別な日。誕生日おめでとう、兄弟」と投稿するほどの仲の良さ。ハキミは準決勝での対戦が決まると、ツイッターに「友よ、もうすぐ会おう」と投稿していた。

準決勝のピッチで再会を果たしたが、どちらか一方しか決勝の挑戦権は得られない。この日涙をのんだのは、ハキミだった。

同じ98年生まれ。2人の絆は強い。エムバペは友の分まで、決勝で暴れるだけだ。