9日の22年ワールドカップ(W杯)カタール大会準々決勝・オランダ-アルゼンチン戦の取材中に倒れ、翌10日未明に死去した米国の著名サッカージャーナリスト、グラント・ウォールさんの死因は大動脈瘤(りゅう)だった。妻で医師のセリーヌ・ゴウンダーさんによると、ニューヨーク検視局によって行われた検視によって明らかになったという。

ゴウンダーさんはウォールさんのウェブサイトに「グラントはゆっくり進行し、検査では見つけられない上行大動脈瘤の破裂と心膜血腫によって亡くなりました。死の直前に胸部の圧迫感を訴えていましたが、それが初期症状でした。心肺蘇生やショック療法でも助からなかったでしょう。彼の死はコロナウイルスとは関係ありません。彼の死はワクチン接種とも関係ありません。彼の死に不審な点はありません」などと記した。

ウォールさんは記者席で同試合の延長戦を観戦中に倒れ、その場で救急医療チームにより約30分間、心肺蘇生法などの処置を受けた。その後、病院へ搬送されたが死亡が確認された。遺体はニューヨークへ運ばれていた。

ゴウンダーさんは「グラントの遺体搬送に関わってくれたすべての方々に心から感謝します。特にホワイトハウス、合衆国国務省、FIFA、米国サッカー協会、アメリカン航空のみなさん」などと感謝の言葉を記した。

ウォールさんはCBSテレビの仕事や、デービッド・ベッカム氏についての著作などで知られ、2日に49歳になったばかりだった。5日に自身のウェブサイトで、体調がすぐれず、メディアセンターにある医療クリニックを訪れたことを明かしていた。

ウォールさんは11月21日に行われたW杯1次リーグ・米国-ウェールズ戦に、LGBTQを支持するレインボーカラーのTシャツを着用して入場しようとしたところ、約25分間、スタジアム内で拘束されたことで注目を集めた。その後、国際サッカー連盟(FIFA)はウォールさんに謝罪したという。

ウォールさんは1996年に名門プリンストン大を卒業。昨年までスポーツイラストレーテッド誌でサッカーや大学バスケットボールを中心に取材を続けていた。