<FIFAワールドカップ(W杯)カタール大会:フランス2-0モロッコ>◇準決勝◇14日◇アルホル・アルベイト競技場

前回王者のフランスが準決勝でモロッコに2-0で勝利し、史上3カ国目の連覇へ王手をかけた。フランスの怪物FWキリアン・エムバペ(23)が異次元のプレーを連発し、実質2アシストで貢献。18日(日本時間19日午前0時キックオフ)の決勝ではアルゼンチンと対戦する。悲願の初優勝を狙うアルゼンチンのエースはFWリオネル・メッシ(35)。エムバペとメッシ。パリ・サンジェルマンの同僚で大会得点王も争う2人が、最高の舞台で対決する。

相手の鬼気迫る猛攻を受け、1点リードのフランスは苦しんでいた。戦況を変えたのは、後半20分の選手交代とポジション変更だ。守備にも奔走した司令塔グリーズマンは「マルクス(チュラム)が配置されたおかげで、左サイドが強化された」と采配に感謝した。

後半、モロッコは能力の高い選手がそろう右から攻め込んだ。サイドバックのハキミ、中盤のウナヒ、FWジエシュの連係をフランスはなかなか寸断できなかった。一因は左ウイングのエムバペが下がらないことだ。左サイドバックのT・エルナンデスは数的不利に苦慮。いい形でボールを奪えずエムバペの攻撃能力も生かせない時間が続いた。

そこでデシャン監督はセンターFWのジルーを下げ、馬力のあるチュラムを左ウイングに投入。それに伴い、エムバペの位置を中央に変えた。ハキミにプレッシャーがかかるようになって守備が安定し、ボール奪取後、チュラムの推進力は全体の押し上げにつながった。エムバペがボールを集めるようになって輝きを取り戻した。後半34分の2点目が生まれたのは、チュラムとエムバペのパス交換からだった。