懐かしいユニホームが、W杯に帰ってきた。32年ぶり出場のペルー。白地に赤い斜めラインが入った伝統のユニホームは、かつてブラジル、アルゼンチン、ウルグアイに次ぐ南米の強国の象徴だった。70年代にW杯8強2回、南米選手権でも優勝。攻撃的MFクビジャスは、南米を代表するスーパースターだった。

 赤い斜めラインのユニホームは、日本では「赤ダスキ」と呼ばれた。アルゼンチンの名門リバープレートをまねたものだと言われるが、日本にも「赤だすき」で旋風を起こした強豪チームがあった。「刈谷の赤ダスキ」と呼ばれた愛知県立刈谷高。高校選手権19回出場で準優勝2回、国体(かつては単独チーム)連覇などの古豪は、今年8月の高校総体にも出場する。東海リーグのFC刈谷も「赤ダスキ」でJリーグ入りを目指している。

 ペルーに続いて試合をしたクロアチアのユニホームも特徴的。赤白のチェック柄は国章にもある「シャホヴニツァ」と呼ばれるデザインから。クロアチア語で「チェス盤」の意味だが、日本的では「市松模様」と言った方が分かりやすい。W杯初出場は、日本と同じ98年。エースのスーケルが得点王に輝き、3位入ってから20年がたっている。

 今大会参加32カ国のユニホームを見ていると、無地が多い。ペルーとクロアチア以外では、アルゼンチンの縦縞が目立つくらいだ。ちなみに、サッカーのユニホームには縦縞が多い。横縞が主流のラグビーとは反対だ。目の錯覚によって縦縞だと背が高く、横縞だと体が太く見える。競技の特性が、ユニホームの柄に表れているのではないかと思う。

 ブラジルのカナリア色、ドイツの白黒、アルゼンチンの青白、フランスのトリコロール、今回は出場していないがイタリアの青に、オランダのオレンジ…。ユニホームを見ただけでチームカラー、プレースタイルが分かる。それが、W杯の楽しみの1つでもある。

 日本の「青」も6大会連続出場で世界的に少しは知られるようになってきたとは思う。ただ、上位に進出して世界が注目してくれなければ、とても定着したとはいえない。32年ぶり出場のペルーの「赤ダスキ」を「懐かしい」と思うのは、それだけペルーのサッカーが魅力的だったからだ。【荻島弘一】