勝ったから、ダンディーさが際立つ。日本代表の西野朗監督(63)は就任3試合目での初勝利にも冷静だった。スリムなおなかの前で、静かに手をたたいただけだった。

 ただ、勝利で和んだ。会見では軽いジョークも出た。殊勲の乾には「(決定機を外した)前半終わって、スパイクの中に何か入っているんじゃないかと聞きました。スパイクを替えたら、抑えの利いたいいシュートが入りました」と“名采配”。寡黙な山口を主将に抜てきした際も「乾、本田、岡崎がオッという顔をした」と内幕を明かした。

 この2試合で全23選手のテストを終えた。4日前のスイス戦から先発を10人も代え、GKも前半は東口、後半は中村とスイッチ。「選手が、期待に応えてくれた。これからの準備が楽しみな結果」と胸を張った。

 メンバー入れ替えは、視察に来た初戦の相手コロンビアのカンビアッソ・コーチを欺くワナではなさそうだが、無策というわけでもない。「リスタートでも全くやっていないところは隠したい。コロンビアとすれば、とらえづらい日本を見ているんではないかと。全てはコロンビアに向けて」と策アリをにおわせた。

 3戦連続で前半に先制され、一瞬のスキを突かれて追加点も許した。これは猛省。ただ、得点時にはベンチ前で輪ができた。1つ、重苦しいムードの呪縛から解き放たれ、4点も入った。

 長い時間をかけた準備は終了。「完成度を問われれば、全くそれは思ってないです。ただチームのステップアップは感じている。劇的に変われる瞬間が、また違う成長の角度を感じられるかもしれない。それを求めていきたい」。短期間で上積みし、運命のコロンビア戦を迎える。【八反誠】