イランが、ロスタイムにセットプレーからモロッコのオウン・ゴールを誘って1-0で競り勝ち、20年ぶりにワールドカップで勝ち点3を手にした。アジア勢としても、10年南アフリカ大会で日本がデンマークに勝利して以来、8年ぶりの白星となった。

 序盤から猛攻を仕掛けたのはモロッコ。前半2分にMFハリト(20=シャルケ)がシュートを放つがゴール右に外れた。直後にも背番号「10」のMFベルガンダ(28=ガタラサライ)がシュートを放つがイランの守備に阻まれた。さらにモロッコは前半19分、FKからMFジエシュ(25=アヤックス)がシュート。イランDFのクリアをMFベガンダが再びシュート。イランGKが弾いたところをまたまたDFベナティア(31=ユベントス)がシュートを打つが、イランの必死の守りに弾かれた。

 イランはモロッコの縦に速い攻撃に防戦一方だったが、前半20分にカウンターからエースFWアズムン(23=ルビン)がシュートを打ち、落ち着きを取り戻す。前半43分には、カウンターからアズムンがモロッコGKカジュイ(29=ヌマンシア)と1対1の大チャンスを迎えた。だが、アズムンのシュートはカジュイに阻まれ、そのこぼれ球をFWジャハンバフシュ(24=AZ)が狙ったが、カジュイの好セーブでネットを揺らすことができなかった。前半を0-0で折り返した。

 後半も一進一退の展開が続く中、後半29分にモロッコにアクシデントが襲う。右サイドで再三、好機をつくっていたMFのN・アムラバト(31=レガネス)が、相手と接触。足元がふらつく脳振とうのような症状を起こし退場。弟のS・アムラバト(21=フェイエノールト)がピッチに入った。一方のイランも、後半33分に中盤の底でモロッコの攻撃の芽をつんできたMFエブラヒミ(30=エステグラル)が右脇腹を痛め退場した。直後の後半35分、モロッコはMFジエシュがシュートを打つが、イランGKベイランバンド(25=ペルセポリス)が右手でセーブしゴールを割れない。

 0-0のままロスタイムに突入。そこでドラマが待っていた。イランはFWゴッドス(24=エステルスンド)が敵陣左サイドでファウルを受け好位置でFKを獲得。DFハジサフィ(28=オリンピアコス)のキックを、モロッコFWブアドゥズ(31=ザンクトパウリ)が頭でクリアしようとしたところ、自陣のゴールに入れてしまい、イランが先制する。イランはそのまま逃げ切り、98年フランス大会以来、勝ち点3を手にした。