【カザン(ロシア)14日】サランスクは長友の庭だ。日本代表DF長友佑都(31=ガラタサライ)が大会前に日刊スポーツのインタビューに応じ、今大会に懸ける思いを語った。半年前、ワールドカップ(W杯)のためにガラタサライへ移籍を決意。その新天地で本拠地のピッチは、初戦コロンビア戦(19日)が行われるサランスクのスタジアムと同じ会社が施行したハイブリッド芝だった。覚悟を刻み込んだ芝。長友が「俺の庭」で暴れ回る。

 長友にとって3大会連続となるW杯が始まる。23歳だった10年南アフリカ大会で16強に進出し、14年ブラジル大会で自信を砕かれた。それからまた4年。経験を全てぶつける時が来た。

 「31歳で迎えるW杯は僕の集大成になる。長谷部さんのサポート、若手が100%力を発揮できる環境を整えたい。南アフリカの時の自分にとっての、俊さん(中村俊輔)や闘莉王さんのような存在でありたい。長友がいたから勝てた、と言われるプレーがしたい」

 今年1月にインテルからトルコ1部ガラタサライへ期限付き移籍。新天地では、加入直後から主力に定着し優勝に貢献した。

 「葛藤はあったけど、すべてはW杯のため。自分の下した決断を正解にしたい。サッカー熱は世界一かもしれない国で、自分の技術も間違いなく上がっている。30(歳を)過ぎても成長できると、実感している」

 今回の移籍は「W杯のため」と言い切る。そう。W杯1次リーグ初戦、コロンビア戦までも見据えていたかのような選択だった。

 コロンビア戦が行われるサランスクの会場の芝は、天然芝と人工芝が織り交ざったハイブリッド芝。ベースキャンプ地カザンで練習初日を迎えたこの日、選手は口々に芝への不安を口にした。だが、長友には関係ない。長友が移籍した1月、ちょうどガラタサライの本拠地にハイブリッド芝が導入された。本拠地ピッチは、1次リーグの3会場で唯一、コロンビア戦会場と同じ会社が施行した芝だった。

 両スタジアムの芝を施行したシス・グラス社のイボ・ラモット社長は「ハイブリッド芝は1度踏んでおいた方がいい。そのピッチでプレーできている長友選手は、必ずアドバンテージになるはず」と話す。長友自身、ガラタサライの本拠地ではリーグ戦7戦7勝。慣れ親しんだピッチのサランスクは長友の“庭”だ。

 4年前、コロンビアには1-4で惨敗を喫した。「ボクシングで言えば、パンチ(を)入れられ失神して倒れるくらいのレベルの完敗」。試合翌日には涙をこらえ切れなかった。訪れたリベンジの機会。ブラジル大会の借りは自身の庭できっちりと返す。【小杉舞】