【カザン(ロシア)20日】サッカー日本代表MF香川真司(29=ドルトムント)とDF長友佑都(31=ガラタサライ)が、深夜のプール会談で気持ちを引き締め直した。歴史的勝利を飾った1次リーグ初戦のコロンビア戦後、宿舎プールで次のセネガル戦(24日)に向けて話し合った。勝利に浮かれることなく、1次リーグ突破へ緊張感を高めた。

 香川と長友は2人で現実を見つめ直した。歴史的な1勝を挙げたサランスクから、ベースキャンプ地のカザンに戻った19日深夜。宿舎のプールには香川と長友の姿があった。試合終了からわずか数時間後。2人に勝利の余韻はなかった。一夜明けた20日、長友は前日のやりとりを明かした。

 長友 彼(香川)も勝った喜びを感じていたけど、危機感の方が強くて。4年前(初戦の)コートジボワール戦で負けた後の感情を振り返りながら、冷静に話し合えた。

 4年前のブラジル大会初戦、コートジボワールに敗戦した。当時、不調に陥った香川はFW大久保から風呂に呼び出され“愛のむち”という名のダメ出しを受けた。長友もその時の様子を見ていた。2人にとっては苦い経験だが、いい教訓でもある。もう1度思い出すことで足元を見つめ直し、セネガル戦に目を向けることができた。実は今回のワールドカップ(W杯)前最後の親善試合、パラグアイ戦(4-2)の後にも2人で風呂で語り合っている。だからこそコロンビア戦でPKを決めて前回の雪辱を果たした香川も、すぐに気持ちを切り替えた。

 香川 (得点は)そこまで振り返らないようにしている。次に集中したい。ただ1勝して、ただ1点とっただけ。これからもっとタフな戦いになる。

 第2戦の相手はアフリカの強敵。独自で1次リーグの相手を分析していた長友は「セネガルが一番強い」と言い切った。「コロンビア戦以上の一体感がないと勝てない。組織がしっかりしている。カウンターは話にならないほど速い」。香川も同じ意見だ。「コロンビア以上にスピードが速い選手、前に強い選手、かつビッグクラブで経験している選手がいてすごくいいチーム。より自分に重圧をかけて、もっともっと上にいく気持ちを出したい。もちろん、一体感を持ちながら戦い続ける」。

 強調したのは「一体感」。10年南アフリカ大会では初戦に勝った後、闘莉王や中村俊輔が中心となってチームのムードを引き締めた。今度は香川と長友の番だ。長友の8年前の経験、香川の4年前の経験を後輩に伝え、もう1度、一体感を高めなければいけない。

 1次リーグを突破するために-。第2戦が行われる24日まで、日本のために2人は全力を出し尽くす。【小杉舞、岡崎悠利】