【ボルゴグラード(27日)】日本代表MF宇佐美貴史(26=デュッセルドルフ)が今日28日の1次リーグ第3戦ポーランド戦で先発に抜てきされる可能性が高まった。第2戦のセネガル戦で途中出場し、念願のワールドカップ(W杯)デビュー。1次リーグ突破が懸かった大一番で出番が回りそうだ。まだ高校2年だったガンバ大阪時代にプロデビューさせてもらった恩師の西野朗監督へ、愛弟子が恩返しの1勝を届ける。

 宇佐美が大歓声を浴びる時がくる。1次リーグ突破が懸かる大事なポーランド戦、左MFで先発の可能性が高まった。第2戦のセネガル戦は後半42分から途中出場。「体感は1分半ぐらいしかなかった」というあっという間のW杯デビューだった。「もっと使いたいと思ってもらえるように頑張るだけ」と話していた宇佐美に、先発から出番が回りそうだ。

 西野監督の愛弟子。G大阪時代、高2だった宇佐美を抜てきしたのが指揮官だった。「まさか西野さんとW杯にくるとはみじんも思っていなかった。縁を感じる」。高校生だった当時、急にベンチ入りが決まった宇佐美は遠征用の荷物を持っておらず、西野監督から怒られたことがあった。その時からいつでも試合に出られる準備はしてきた。「出たいという気持ちは強い」。その思いを爆発させ、Jリーグ、W杯デビューの機会を与えてくれた指揮官へ恩返しする。

 苦手な守備の意識も変えた。ドイツ2部だったデュッセルドルフでは上下の運動量を求められた。やみくもに走るだけでなく、90分通し動きに無駄を作らず、効果的な守備を意識するようになった。

 だが、もちろん要求されるのは得点。「W杯でゴール…取りたい。ゴール、結果」。初めてのW杯。プラチナ世代をけん引してきた宇佐美だが、ロンドン五輪では結果を残せず、W杯の前回大会では大けがをしてメンバー入りできなかった。ようやくつかむ夢の舞台。26歳になった宇佐美にとって覚悟の一戦となる。