サムライ長友が向上し続ける秘訣(ひけつ)は何なのか-。驚異の運動量を誇るDF長友佑都(31=ガラタサライ)のトレーニングに迫った。

 昨季からフットボールスタイリストの鬼木祐輔さん(34)を専属コーチとして招聘(しょうへい)。1次リーグ第3戦ポーランド戦で、日本代表のワールドカップ出場試合数、出場時間数ともにトップタイに立った長友は、31歳になった今でも、なぜこんなに戦えるのか。

 秘密の1つは感覚器の発達だ。昨年10月頃から運動能力の向上を図り、毎日、クラブでの練習後に、鬼木さんとマンツーマンでトレーニングを重ねるようになった。もちろんトルコに移籍してからも毎日一緒。ただ厳しい練習をするわけではない。鬼木さんは「やることはシンプル。リフティング、トラップ…基礎の基礎」。だが、その基礎練習を片目を閉じて行うのだ。

 「人間は両目両耳と、皮膚感覚で位置情報を把握する。だけど、現代社会に生きていると、遠近感を求められず、片側の目だけで生活できてしまう。アフリカに住んでいるわけではないので、利き目ではない方の機能は落ちる。利き目ではない方の反応は遅れたり、1対1、ターンにも影響する。利き目ではない方を鍛えることで、(動きの)質が上がる」

 鬼木さんの考えを長友も理解。その鬼木さんとの出会いは昨年だった。元トレーナーの鬼木さんは独立して、子どもや選手のサッカー人生をプランニングするフットボールスタイリストになった。長友の母校、明大でも指導していたことがきっかけで、連絡を取るように。昨季から鬼木さんをミラノ、トルコへ呼んだ。

 片目を閉じて基礎練習を積むことで「サイドチェンジで来たボールがぴたっと止まるようになったり、パスを受けて顔を上げた時の景色が違う」と長友は言っていたという。上昇一途の不動のサイドバック。初のベスト8へ、長友がけん引する。【小杉舞】

 ◆鬼木祐輔(おにき・ゆうすけ)1983年(昭58)8月24日、横浜市生まれ。トレーナーとして活動し、30歳で独立。独立後、京都精華女子サッカー部監督だった越智健一郎氏に「フットボールスタイリスト」と命名された。昨年10月から長友専属コーチ。