「悪魔が目覚めた!」。1本のゴールが重い空気を吹き飛ばすと、ベルギーサポーターはお祭り騒ぎに。サッカーのワールドカップ(W杯)の日本-ベルギーを2日、首都ブリュッセルのパブリックビューイング会場で観戦した約1万人のファンは「赤い悪魔」(ベルギー代表の愛称)の怒濤(どとう)の逆転劇に歓喜した。

 会場は首都東部の広場で、周辺には日本人駐在員も多く住んでいるが、ほぼベルギーのサポーターで埋まった。同国旗の黒黄赤のフェースペイントや、選手と同じ赤いユニホーム姿が目立つ。

 格下の日本相手に勝利を確信する多くの人々は当初、リラックスした雰囲気。しかし日本が得点を重ねると笑顔が消えていく。日の丸を持参した日本人駐在員は「怖くて出せませんでした」。

 後半、ベルギーがゴールを決めるたびに、サポーターは日没時の薄明かりの空に腕を突き上げ、喜びを表現。逆転のゴールから勝利の笛まで、興奮は最高潮に達した。

 ブリュッセルの会社員ジャン・コントさん(60)は「すごい試合だった。日本は驚くべきチーム。でも最後の最後に『悪魔』が目を覚ました」と話した。別の男性は「ベルギーは技術的、精神的な強さを証明した。さあ次はブラジル戦だ」と意気込んだ。

 試合終了後、走行中の車が一斉にクラクションを鳴らした。首都中心部のあるパブではビールが無料で振る舞われ、喜びを分かち合っていた。