サッカー日本代表MF本田圭佑(32=パチューカ)は今大会が自身にとって最後のワールドカップ(W杯)になると明言した。今後の去就については「整理したい」と明言を避けた。

 「このために、このために、本当に僕はこのためにやってきたんです」。

 3度目のW杯を終えた本田は、言葉に力を込めた。「極論、プロになるのもヨーロッパで活躍するのも、W杯のためにやってきたんです。本当に、W杯のためにやってきたから」。どんな批判を浴びようと、曲げなかった「目標は優勝」の信念。2度決勝トーナメントに進むも、8強の壁は高かった。人生の目標だったW杯。次はないと言い切った。自分に誓うように。

 「正直、自分がみんなをもう1個上のステージに連れていってあげたかった」。

 不動のレギュラーだった4年前から立場はかわり、サブ組に回った。それでも本気で優勝を目指していたからこそ、出た言葉だった。「同点で出るシチュエーションを想定していたのに、結果を出せなかった」。左足を振り抜いたこん身のFKは無回転でゴール左隅をとらえたが、GKの好セーブに阻まれた。アシスト、ゴールと勝敗に直結するプレーを見せた1次リーグのようにはいかなかった。

 「W杯が終わった(負けた)ら自分の人生が終わるとしたら、どういう決断をしていくか」。

 ロシアに入った6月13日。本田の誕生日だった。チームから祝福を受けた本田は全員の前で話した。「人生は終わらないんだけど。どういう覚悟でどう取り組んで、どういう会話をして、どう過ごしたいんだと。後悔したくない気持ちが強かった」と、言葉の真意を明かした。

 意見をぶつけ合うときはぶつけ合い、あえて言わないときは言わず、そしてたたえ合い、励まし合う。西野監督を含めた全員がチームを思い、行動した。新体制発足からわずか約2カ月の日本代表に、団結が生まれた。「本当に選手のみんなを好きになった。こんなに好きになれると思わなかったくらい」。年長組になった本田の心に芽生えたのは、このチームを導く力になりたいという思いだった。

 だからこそ16強という結果には満足できない。それでも、自身の選手としてのW杯には区切りをつけた。今はっきりと言えることはW杯はこれが最後だということ、そしてもうひとつ。「しっかりと伝えたいのは、仲間に感謝しているということ」。最高のチームメートに囲まれて、本田のW杯への挑戦は幕を閉じた。