4強が出そろった。イングランドはスウェーデンを2-0で下し、90年イタリア大会以来となる28年ぶりの準決勝進出を果たした。DFマグワイアとMFアリが得点。GKピックフォードがファインセーブを連発し、相手の攻撃を完封した。決勝をかけて10日(日本時間11日)にフランス-ベルギー、11日(同12日)にクロアチア-イングランドが行われる。

 求め続けていたGKがついにイングランドに現れた。昨年11月10日の国際親善試合ドイツ戦で代表デビューしたばかりの24歳、ピックフォードだ。後半2分。ヘディングシュートを左手で止めて流れに乗った。「あれでリズムに乗ることができた」と、3つのスーパーセーブを決めて、マン・オブ・ザ・マッチを獲得した。90年以来28年ぶりの4強入りに「僕は生まれていなかった(笑い)」と大物感を漂わせた。

 ワールドカップ(W杯)予選が終了した直後に転機が訪れた。サウスゲート監督が、GKからただ単にロングボールを蹴るのではなく、つなぐスタイルに変更したことで急きょ、レギュラーとして起用された。定評のあった足元の技術を発揮し、代表デビューからわずか8カ月、W杯のピッチで躍動している。

 昔はバンクスやシーマンら名GKを輩出したイングランドだが、近年はGK不毛の地になっていた。プレミアリーグの放送権料高騰により金満クラブが増加。欧州CLを狙うビッグクラブは国外の優秀なGKを獲得し続けた。4強入りしたベルギー代表GKクルトワ(チェルシー)や、フランス代表GKロリス(トットナム)を筆頭に、「ビッグ6」と呼ばれる強豪6チームの正GKはすべて外国人だ。プレミアに在籍している外国人GKがW杯に12人も参加している。

 昨季8位のエバートンに所属と、欧州CLとは無縁のピックフォードは「新しい歴史をつくるつもりでやっている」と初の大舞台にも力強く宣言した。14年のドイツはノイアー、10年のスペインはカシリャス、06年のイタリアはブフォンなど、W杯で優勝する国には有能なGKがいる。イングランド史上最高のGKバンクスを擁して優勝した66年以来となる2度目の優勝へ、ピックフォードがイングランドのラストピースとなる。