3月11日に行われたギリシャ1部PAOK対AEKアテネ戦で、前代未聞の事件が起きた。

 英サン紙(電子版)など複数の海外メディアによると、ホームPAOKのオーナーでロシア人富豪のサビディス氏が銃を携えてピッチに乱入。0-0で終わるはずの試合が、終了2時間後に1-0でPAOKの勝利に変更されてしまったという。

 0-0の後半45分に問題のプレーが起きた。右CKからPAOKのカボベルデ代表DFフェルナンド・バレラ(30)がヘディングでゴール。しかし別の選手がオフサイドの位置にいたということで、コミニス主審がゴールを取り消した。

 これに激怒したのがサビディス氏。ボディーガードとともに2度もピッチに乱入し、主審を脅迫。さらにAEKの役員に対しては「殺すぞ」と威嚇したという。その際、同氏のベルトについた銃のホルスターには、明らかに本物の銃が収められていたという。

 審判団は控室に避難。0-0で試合は打ち切られ、ファンもスタジアムから出ることを求められた。しかし約2時間後、脅迫に屈したのかコミニス主審は一転ゴールを認定。PAOKの1-0での勝利となった。この結果についてはPAOK、AEK双方が公式ホームページで認めている。

 一方ギリシャリーグのホームページによると現在、首位AEKが勝ち点54、2位PAOKは勝ち点52となっているが、最新の試合結果は反映されていないようだ。

 ただ、このような暴挙がスポーツ界で許されるはずはなく、今後新たに何らかの裁定が下る可能性もある。リーグ終盤の大一番に暗い影を落としたオーナーの暴挙。今後の事態の成り行きが注目される。

【千葉修宏】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「海外サッカーよもやま話」)


威嚇するPAOKオーナーのサビディス氏(手前)(AP)
威嚇するPAOKオーナーのサビディス氏(手前)(AP)
PAOKオーナーのサビディス氏(左から2人目)を制止する選手ら(AP)
PAOKオーナーのサビディス氏(左から2人目)を制止する選手ら(AP)
PAOKオーナーのサビディス氏(右から2人目)(AP)
PAOKオーナーのサビディス氏(右から2人目)(AP)