スペイン代表の長い歴史は、1920年8月28日アントワープ・オリンピック(五輪)でのデンマーク(1-0勝利)との一戦に始まり、2020年8月28日に「センテナリオ(100周年)」を迎えた。

今年3月にオランダ、ドイツと親善試合を行い、6~7月にかけてヨーロッパ各地で欧州選手権が開催される予定だったが、新型コロナウイルスの感染拡大により、全て中止となった(※欧州選手権は来年に延期)。

スペイン代表最後の試合は、昨年11月18日にアトレチコ・マドリードのホームスタジアム、ワンダ・メトロポリターノでの欧州選手権予選ルーマニア戦(5-0で勝利)。その後、新型コロナウイルスの影響で活動停止を余儀なくされていたが、今回、約10カ月ぶりに再始動することになった。

スペイン代表の過去100年間の成績を振り返ってみると、702試合412勝159分け131敗1411得点637失点となっている。その間、ワールドカップ(W杯)1回(2010年)、欧州選手権3回(1964年、2008年、2012年)に優勝してきた。

スペイン代表は過去、素晴らしい選手たちを擁しながらも最終的にタイトルを獲得できなかったため、皮肉の意味も込め、歴史にちなみ「無敵艦隊」と称されていた。しかし、ルイス・アラゴネスとビセンテ・デル・ボスケに率いられ「ティキ・タカ」という美しいパスサッカーのプレースタイルで世界を席巻。欧州選手権、W杯、欧州選手権とメジャー大会3連覇を成し遂げた2008~12年が、スペイン代表の100年間の中で最高の時代と言われている。

スペイン代表の最も重要な勝利を挙げるとすれば、アンドレス・イニエスタ(ヴィッセル神戸)の得点により初優勝を飾った、2010年7月11日のW杯南アフリカ大会決勝オランダ戦で間違いないだろう。この一戦はスペイン国民にとって一生忘れられないものとして、今なお心に刻まれている。

100年もの長い歴史の中、総勢793選手がスペイン代表のユニホームに袖を通してきたが、その中で100試合以上に出場しているのはわずか13選手のみ。代表キャップ数トップはレアル・マドリードでプレーするセルヒオラモスで170試合。2005年3月6日にデビューし、当時18歳だった頃からすでに15年の歳月が流れているものの、今なお歴史を築き続けているスペインの“闘将”である。

これにイケル・カシージャス(167試合)、シャビ・エルナンデス(133試合)、イニエスタ(131試合)、アンドニ・スビサレッタ(126試合)、ダビド・シルバ(125試合)、セルヒオ・ブスケツ(114試合)、シャビ・アロンソ(113試合)、フェルナンド・トーレス、セスク・ファブレガス(110試合)、ラウール・ゴンサレス、ジェラール・ピケ(102試合)、カルレス・プジョル(100試合)が続く。

そして287選手がゴールを決めてきた。最多得点選手は神戸でもプレーしたダビド・ビジャで59得点。続いてラウール・ゴンサレス44得点、フェルナンド・トーレス38得点、ダビド・シルバ35得点、フェルナンド・イエロ29得点となっている。

監督に目を向けると、これまでにスペイン代表を率いた55人の中、最も指揮を執っているのはデル・ボスケで113試合。勝率76%で、ワールドカップ(2010年)と欧州選手権(2012年)の2タイトルを獲得している。

そして今回、ルイス・エンリケ監督がスペイン代表の新たな時代を作るべく、アンス・ファティやオスカル・ロドリゲスなどの新顔を加えた24人を招集し、新型コロナウイルスの影響で活動が止まっていたチームを再始動させる。スペイン代表はこの後、9月3日にドイツ、同6日にウクライナとUEFAネーションズリーグで対戦し、新たな100年に向けて最初の1歩を踏み出すことになる。【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)