9月1日に今夏の移籍市場が終了し、スペインリーグ全体で163人の新戦力が加わった。中でも特に大きな動きを見せたのは復活に燃えるバルセロナ。そして久保建英が完全移籍したレアル・ソシエダードも莫大(ばくだい)な投資を行った。

スペインリーグ今夏の補強総額は4億9060万ユーロ(約686億4000万円)。2億9250万ユーロ(約409億5000万円)だった昨夏を2億ユーロ(約280億円)近くも上回る結果となった。その理由として、コロナ禍でほぼ全てのクラブが苦しんでいた財政面が回復傾向にあることが挙げられるだろう。

欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、イタリア、ドイツ、フランス)の補強総額を比較すると、多額の資金投入が目立ったプレミアリーグは21億7200万ユーロ(約3040億8000万円)で、13億3000万ユーロ(約1862億円)だった昨夏に続きダントツだった。

続いてセリエAが7億4920万ユーロ(約1048億8800万円)で昨夏同様2位。そしてフランスリーグが4億9900万ユーロ(約698億6000万円)で3位(昨夏4位)、スペインリーグが4位(昨夏5位)、ブンデスリーガが4億8410万ユーロ(約677億7400万円)で5位(昨夏3位)と、僅差ながらも順位が入れ替わっていた。

またスペインリーグとプレミアリーグとの差は、昨夏の10億ユーロ(約1400億円)から16億ユーロ(約2240億円)へとさらに開く形となった。

スペインリーグで今夏最も補強費が多かったクラブは昨季の汚名返上を目指すバルセロナ。ラフィーニャ、クンデ、レバンドフスキなどに対し、1億6300万ユーロ(約228億2000万円)もの投資を行った。

今季、クラブ史上初の6冠達成を目標に掲げているレアル・マドリードが2位だった。リュディガーをフリーで獲得したため、今夏のスペインリーグの移籍金最高額となったチュアメニの8000万ユーロ(約112億円)が、昨季の王者が補強に費やした全額となっている。

近年まれに見る大型補強を敢行したレアル・ソシエダードが3位。久保、チョー、ブライス・メンデス、セルロート、さらに移籍市場最終日にクラブ史上の移籍金最高額でサディクを獲得し、その総額は5100万ユーロ(約71億4000万円)。昨夏はわずか50万ユーロ(約7000万円)だったため、その投資額は100倍以上であり、欧州チャンピオンズリーグ(CL)圏内の4強入りに向けた意気込みが伝わってくる。

続いて、セビリアと2部から昇格したアルメリアが2800万ユーロ(約39億2000万円)で4位、アトレチコ・マドリードが2650万ユーロ(約37億1000万円)で6位となっている。一方、ビルバオは昨夏に続き、今夏も補強費を1ユーロも使わなかった唯一のクラブだった。

スペインリーグの移籍金収入に目を向けると、昨夏の2億6000万ユーロ(約364億円)に対し、今夏は4億6940万ユーロ(約657億1600万円)と大幅な伸びを見せた。

トップはカゼミロを今夏のスペインリーグ最高額でマンチェスター・ユナイテッドに売却し、さらに久保やマジョラルなどを放出したRマドリードで9300万ユーロ(約130億2000万円)。2位はクンデをバルセロナに高値で放出したセビリアで9150万ユーロ(約128億1000万円)。3位はイサクをクラブ史上の最高額でニューカッスルに売却したRソシエダードで8050万ユーロ(約112億7000万円)となっている。

これにバレンシアが5980万ユーロ(約83億7200万円)、バルセロナが4800万ユーロ(約67億2000万円)で続く。一方、ビルバオ、オサスナ、ラヨ・バリェカノ、カディス、ジローナの5クラブの移籍金収入はゼロだった。

今夏の移籍市場が終了し、メンバーが確定した各チームはこの後、ワールドカップを途中に挟む、変則的な過密日程のシーズンに本格的に臨むことになる。来年6月までの長丁場、どのチームの補強が成功したか、徐々に明らかになっていくだろう。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)