今夏の移籍市場が1日に終了し、最終的に昨夏よりも6人少ない計157人がスペインリーグへとやって来た。

その中で最大の補強は、今夏のスペインリーグ最高額となる移籍金1億300万ユーロ(約154億5000万円)でドルトムントからレアル・マドリードに加入したイングランド代表MFベリンガムだろう。シーズン開幕から期待通りの素晴らしい活躍を見せ、4得点を挙げてリーグ得点王になっている。

また例年通り移籍市場最終日に大きな動きがあり、半数以上のクラブが選手獲得に動いた。中でもバルセロナはポルトガル代表FWジョアン・フェリックスとDFカンセロをそれぞれアトレチコ・マドリードとマンチェスター・シティーから期限付き移籍での獲得させていた。

その他に目立った動きでは、ベティスがバルセロナからモロッコ代表FWアブデ、レアル・ソシエダードがRマドリードから元スペイン代表DFオドリオソラを獲得し、セビリアはRマドリードとの契約が今夏満了した元ドミニカ代表FWマリアーノと合意した。

ヘタフェは昨年1月に恋人への暴行容疑で逮捕され、それ以降マンチェスター・ユナイテッドで干されていた元イングランド代表FWグリーンウッドを、ジローナはバルセロナからスペイン代表DFエリック・ガルシアをそれぞれ期限付き移籍で補強している。

スペインリーグ全体の補強費は昨季から約6000万ユーロ(約90億円)減の4億3280万ユーロ(約649億2000万円)。この金額はコロナ禍で大きく沈んだ21-22年シーズン、20-21年シーズンに次いでここ10年間で3番目に低く、再び各クラブの苦しい経済面が浮き彫りとなる結果となった。

欧州5大リーグ(スペイン、イングランド、イタリア、ドイツ、フランス)の補強総額を比較すると、大盛況のプレミアリーグが前年比6億ユーロ(約900億円)増の27億3770万ユーロ(約4106億5500万円)で例年通りダントツのトップ。

続いてフランスリーグが8億8064万ユーロ(約1320億円9600万円)で2位(昨夏3位)にアップし、セリエAが8億4566万ユーロ(約1268億4900万円)で3位(昨夏2位)にダウンした。

そしてブンデスリーガが7億4702万ユーロ(約1120億5300万円)で4位(昨夏5位)となり、昨夏4位だったスペインリーグが最下位に落ちている。

またスペインリーグとプレミアリーグとの差は昨夏の16億ユーロ(約2400億円)から23億ユーロ(約3450億円)へと、さらに大きく開いている。

スペインリーグでは今夏、中堅クラブによる多額の投資が目立った。そんな中、最も補強費が多かったのは、欧州チャンピオンズリーグ&スペインリーグの王者返り咲きを狙うレアル・マドリード。ベリンガム、フラン・ガルシア、ギュレル、ホセル、ケパを1億2950万ユーロ(約194億2500万円)で獲得した。

2位は予想外にもアルメリアだった。5150万ユーロ(約77億2500万円)を投資し、メキシコ代表DFモンテスやコロンビア代表FWルイス・スアレスなどを補強した。

続いてセルタが3500万ユーロ(約52億5000万円)で3位、セビリアが3350万ユーロ(約50億2500万円)で4位、マジョルカが2630万ユーロ(約39億4500万円)で5位。そして優勝候補の一角アトレチコ・マドリードが2370万ユーロ(約35億5500万円)で6位となっている。

久保建英が所属するレアル・ソシエダードは今夏、トラオレ、アンドレ・シルバ、ザハリャン、ティアニー、オドリオソラを補強した。その投資額の合計は久保やブライス・メンデス、サディクなどを獲得した昨季の3分の1以下の1600万ユーロ(約24億円)で8位だった。

昨季のリーグ王者バルセロナは今夏も厳しい財政難に直面しており、移籍金を支払ったのはオリオール・ロメウのみ。その投資額はカディスと並ぶわずか350万ユーロ(約5億2500万円)で18位。ビルバオは昨夏同様、補強費を1ユーロも使わなかった唯一のクラブになっている。

一方、スペインリーグ全体の今夏の移籍金収入は前年比800万ユーロ(約12億円)増の4億7760万ユーロ(約716億円)で、支出額を若干上回っている。

ジャクソン、パウ・トーレス、チュクウェゼなどを売却したビリャレアルが1億950万ユーロ(約164億2500万円)でトップ。続く2位はデンベレを今夏のスペインリーグ最高額の移籍金5000万ユーロ(約75億円)でパリサンジェルマンに放出したバルセロナで7790万ユーロ(約116億8500万円)。

3位はスペインサッカーの将来を嘱望された逸材ガブリ・ベイガをクラブ史上の移籍金最高額でサウジアラビアのアル・アハリに移籍させたセルタで6170万ユーロ(約92億5500万円)。一方、ビルバオ、オサスナ、ラス・パルマスの3クラブは移籍金収入がゼロだった。

サウジアラビアの移籍市場が今月7日まで開いているため予断を許さないものの、スペインの各クラブはこの後、本格的に23-24年シーズンに臨むことになる。最終的にどのクラブが素晴らしい補強を成し遂げたか、シーズンが終了する8ヶ月後の来年5月にその結果が分かるだろう。

【高橋智行通信員】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)