28年ロサンゼルス五輪出場を目指すU-21日本代表(大岩剛監督)は今月の海外遠征初戦でスペイン(エストレマドゥーラ州アルメンドラレホ)を訪れ、現地時間13日にU−21スペイン代表と対戦する。

■近年最も成果を収める代表チーム

U−21スペイン代表は五輪3大会連続出場および2連覇を目指す強豪チームだ。ロサンゼルス五輪の参加枠が16チームから12チームに減少することに伴い、アジアが3・5枠から2枠になったのと同様にヨーロッパも4枠から3枠と狭き門となったことで、出場権争いは熾烈を極める。しかし、スペインは世代が変わっても高い競争力を維持し、20年東京大会(※コロナ禍で開催は21年)は銀メダル、パリ大会では32年ぶり2度目の金メダル獲得と着実に実績を残している。

このように近年のスペインは、育成年代を含め男女ともに世界で最も成功を収めている代表チームと言える。男子A代表がデラフエンテ監督指揮下で始動した23年以降、わずか3年半で10タイトル以上、今年だけでも5タイトルを獲得し、現在18大会のうち9大会で王者の座に君臨している。

男子は前回の五輪優勝に加え、A代表が欧州ネーションズリーグ(23年)、欧州選手権(24年)、W杯(26年)を制し、FIFAランキング首位。U−19代表は欧州選手権(24年、26年)、U−15代表は新設されたW杯&フェスティバル(26年)でそれぞれ優勝した。

女子もA代表がW杯(23年)を制覇し、欧州ネーションズリーグ2連覇中(24年、25年)でFIFAランキング首位と男女ともに世界トップ。U−20代表はW杯(26年)、U-19代表は欧州選手権(22年から5連覇中)でそれぞれ王者になっている。

昨夏からU−21代表を率いるダビド・ゴルド監督は約30年の指導者キャリアの中、近年はスペインの世代別代表監督を務め、パリ五輪はアシスタントコーチとして参加した。システムのベースは4−3−3。プレースタイルはA代表の哲学を踏襲し、ボールポゼッション、ショートパス、サイド攻撃、ハイプレスを重視している。

■半数はレアル、バルサの下部組織出身

来夏に開催される、ロサンゼルス五輪予選を兼ねたU−21欧州選手権の予選A組では計35人(※半数近くがレアル・マドリードとバルセロナの下部組織出身)を起用し、10試合9勝1敗、47得点5失点の勝ち点27という圧倒的な成績で予選突破する見事な手腕を発揮した。コソボ、フィンランド、サン・マリノ、ルーマニア、キプロス相手にボール支配率で圧倒し(1試合平均63%)、同予選史上の最多得点記録を樹立した。

ダビド・ゴルド監督はデラフエンテA代表監督同様に、所属クラブで活躍した選手をすぐに試す傾向が強く、9月から10月にかけて行われたU−21欧州選手権予選最後の3試合のメンバー23人に、DFシャビ・エスパルト(バルセロナ)、FWカルロス・エスピ(Rマドリード)、FWハビ・エルナンデス(エスパニョール)を初招集した。

GKを除いた多くの選手が所属クラブで定位置を確保している猛者揃いで、13日のU−21日本代表戦、その4日後のU−21アルバニア代表戦も前回と似たメンバーで臨むと予想される。

注目されるのは、FWゴンサロ・ガルシア(フルハム)、カルロス・エスピ、FWパブロ・ガルシア(ラシン・サンタンデール)、DFハコボ・ラモン(コモ)など。シャビ・エスパルト(バルセロナ)やFWヘスス・ロドリゲス(コモ)は負傷欠場する見込みである。

各ポジションに目を向けると、GKはフラン・ゴンサレス(セビリア)とエスキベル(アトレチコ・マドリード)がU−21欧州選手権予選ではレギュラーの座を分かち合ったが、両者とも所属クラブでは控えに回っている。

守備の要となるセンターバックのハコボ・ラモンはメンバーの中で市場価値が最も高く、イタリアでのパフォーマンスが高評価され、来季のRマドリード復帰が噂されている。そのパートナー候補として、ガシオロフスキ(PSV)とジョン・マルティン(レアル・ソシエダード)が挙がる。

■エースストライカーはゴンサロ

右サイドバックは今季頭角を現したシャビ・エスパルトの負傷を受け、バルセロナの興味が報じられるフレスネダ(スポルティング)が代役を務める可能性が高い。左サイドバックはアレックス・バジェ(コモ)が不動の地位を築いている。

チームのポゼッションサッカーを支える中盤は優秀な人材が多く、チェマ・アンドレス(ブライトン)、ベルナル(バルセロナ)、マリオ・マルティン(ヘタフェ)、イケル・ブラボ(ワトフォード)、ロドリゴ・メンドーサ(Aマドリード)、フェル・ロペス(ウルバーハンプトン)などがポジションを争っている状態だ。

入れ替わりの激しい中盤に比べ、爆発的な攻撃力を発揮した前線は比較的固定されている。エースストライカーのゴンサロは今季、出場機会を求めてRマドリードから恩師のアルベロア監督が指揮するフルハムに移籍した。チームで唯一、U−21欧州選手権予選全10試合に出場し7得点を挙げている。

カルロス・エスピはレバンテでのパフォーマンスが評価され、ゴンサロと入れ替わる形で今夏Rマドリードに加入した。U−21代表デビュー2戦目のサン・マリノ戦で5得点2アシストの大活躍を見せたことでその直後、負傷したフェラン・トーレスに代わり、A代表に追加招集された。今後、不動の地位を築くゴンサロを脅かす存在になるかもしれない。

右ウイングのパブロ・ガルシアは今夏、幼少期から育ったベティスのサラリーキャップ(選手の契約年数に合わせて分割された移籍金や選手年俸などの限度額)の問題により、ラシン・サンタンデールへの移籍を余儀なくされた。U−21欧州選手権予選では8試合8得点でチーム得点王となっている。

左ウイングは突破力に優れたヘスス・ロドリゲスが負傷欠場するため、U−21欧州選手権予選6試合で4得点と高い得点力を見せたビルジリ(クラブ・ブルージュ)がスタメンに近い存在となっている。

■ヤマル、クバルシはA代表専念へ

U−21スペイン代表がロサンゼルス五輪出場権を獲得した場合、A代表W杯優勝メンバーの主力であるヤマル(バルセロナ)やクバルシ(バルセロナ)はまだ19歳で対象年齢内だが、同じ夏に欧州選手権がイギリスで開催されることから、五輪には参加しない可能性が高いと思われる。

U−21日本代表にとって、前回五輪王者のU−21スペイン代表とアウェーで戦えるこの一戦は、9大会連続の五輪出場を目指す上で、またとない試金石となるだろう。チケット価格は6ユーロ(約1080円)~20ユーロ(約3600円)。ゴール裏以外はほぼ完売し、現地の人々にとって、スペインサッカーの将来を嘱望される選手たちの勇姿を見られる、非常に楽しみな一戦となっている。【高橋智行】(ニッカンスポーツコム/サッカーコラム「スペイン発サッカー紀行」)