6年前、シュツットガルトから親善試合の約束を取りつけた7部リーグ所属のFCランゲン。しかし1アマチュアクラブに過ぎない彼らにとっては願ってもないそんなチャンスも、今や自然消滅寸前の状況であるようだ。


 大衆紙「ビルト」によると2011年当時、FCランゲンは破産の危機に陥っており、新たに会長となったシュテファン・ザイベル氏は、シュツットガルト宛に1通の手紙を書いたという。普段は閑散としているグラウンドにプロチームが来るとなれば、爆発的な観客収入が見込まれる--それを願って“救済試合”を頼み込んだのだが、シュツットガルト側もこれを快諾。「本当に嬉しかった」と同会長は回顧する。


 その後、シュツットガルトからはクラブ幹部のサインが記された正式な契約書も届き、FCランゲン関係者は開催を心待ちにしていた。しかしその後、シュツットガルトからの問い合わせに返事を送っているうちに、雲行きが怪しくなり始めたようだ。


 「我々のホームグラウンドの写真をシュツットガルト側に送ったんだ。そしたら彼らは『グラウンドのコンディションが悪いから試合はできない』と言ってきて、さらに『チームバスの駐車スペースもない』と言い出した。でもそんなのはデタラメだ。ダルムシュタット(ブンデスリーガ2部)は、ここのグラウンドを借りて練習したこともあるし、その時彼らのチームバスはなんの問題もなく駐車できたというのに」(ザイベル会長)


 音沙汰のないシュツットガルトをひとまず脇に置き、ザイベル会長は2014年5月、フランクフルトにも同様の申し込みを入れた。すると、こちらは即座に行われ、3500人もの観客が入る大盛況だったという。そして、この時の入場料収入が資金難だったFCランゲンを窮地から救い、同会長も「フランクフルトには本当に感謝している」と語っている。しかし、契約書が存在するにもかかわらず実行に移してくれないシュツットガルトには、ザイベル会長も失望と憤りを隠せない。


 「契約書が届いて以降、シュツットガルトの会長全員に手紙を書いてきたが、返事があったのは2015年のワーラー会長の時だけ。どうしようかと今年の2月、ヘッセン州サッカー協会に相談してみたんだ。そしたらその直後にシュツットガルトから『計画を練って3月中旬に連絡する』とコンタクトがあったんだが、その後彼らからの連絡は1度もない。1度もだ」(ザイベル会長)


 なお、シュツットガルト関係者の1人はビルト紙の取材に対し、「FCランゲンとはまだ情報交換をしている段階」とだけ語り、それ以上のコメントはなかったという。今回、同紙が書き立てたことで、これが実現に結びつけばいいのだが。