バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)が初優勝を狙ったパリ・サンジェルマン(フランス)を1-0で下し、7季ぶり6度目の欧州制覇を果たした。前回優勝の12-13年以来2度目となる国内リーグ、ドイツ杯との「3冠」も達成した。後半14分にFWコマン(24)が頭で決勝点を挙げた。大会方式が変更されるなど新型コロナウイルスに振り回された異例のシーズンで、無敵のドイツ王者が史上初の全勝優勝を成し遂げた。

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試合終了の笛が無観客のスタジアムに鳴り響くと、マスク姿の控え選手、スタッフらがピッチ内に駆け込んだ。新型コロナウイルスの影響で3月に中断し、大会方式が変更されるなどした異例のシーズン。ドイツ王者のバイエルン・ミュンヘンが、大会新記録となる11連勝で欧州王者の称号を7季ぶりに奪還した。準々決勝と準決勝が一発勝負になったとはいえ、全勝での優勝は初の快挙。フリック監督は「狙いどおりの試合。このチームを誇りに思う」と胸を張った。

昨年11月に就任した指揮官の下、逆襲速攻を招くリスクを恐れず、敵陣でハイプレスを仕掛けるスタイルを貫いた。一進一退の攻防が続いた前半25分、ボアテングが負傷交代するアクシデントはあったが、ここでリズムを崩すことなく、チームはやるべきことを遂行。ボール保持率は最終的に61%に達し、終始主導権を握った。

「今日もまたこの道を進んだ。一貫して勇敢に前進し続けた」と指揮官。ネイマール、エムバペという世界屈指のアタッカーがいる相手に対しても強気に前から仕掛け、カウンターでピンチに陥っても自陣ゴール前には守護神のGKノイアーが立ちはだかった。

試合が動いたのは後半14分だった。キミヒの右からのクロスをコマンがヘッドでたたきつけてネットを揺らした。これまで先発をほぼ固定して戦ってきたが、大一番で主力のペリシッチに代わってコマンが先発した。育成年代を過ごした古巣を相手に決勝点を挙げ「格別な興奮がある」と喜んだ。起用が的中したフリック監督は「今季の彼はリベリやロッベンの陰から抜け出した」と、7年前の3冠達成時の立役者2人の名前を出し、殊勲の24歳サイドアタッカーをたたえた。

圧倒的な攻撃力を武器に驚異的なペースで勝ち続け、昨年12月から公式戦30試合で29勝1分け。無敵のチームをつくり上げた指揮官は「欠けていたのはファンだけだった」と言った。