海外サッカークラブの日本語ツイッターアカウントが増加している。日刊スポーツ調べでは、プレミアリーグとセリエAで各4クラブ、ブンデスリーガ1部で6クラブ。スペインリーグ1部は8クラブと、圧倒的に多い。

プレミア、セリエA、ブンデスで日本語アカウントを保持しているのは、世界中にファンをもつ強豪クラブか、日本人在籍歴のあるクラブだ。しかしスペインでは、日本ではなじみのない下位チームが続々とアカウントを開設しており、投稿内容もユニークなものが多い。

現在13位のカディスは、19年3月に日本語アカウントを開設した。日本人選手の在籍歴はないが、現在フォロワーは7500人超。なぜかコテコテの関西弁でつぶやかれるツイートが、人気を博している。試合後の会見コメントなど現地発の情報も多いが、このアカウントの魅力はファンとの距離感にある。

アカウントの“中の人”が、ファンのような立場でつぶやきを発信している。試合中は「うまーーー!」「惜しい!」「ハラハラしたわー!」などと、リアルタイムで感想を投稿。ファンのツイートを拾って、ノリよく返信することもある。Jリーグの情報やスペインにいる日本人選手情報にも詳しく、「情報発信+共感力」の両面をあわせもつアカウントとして、親しまれている。

スペイン2部でも、3クラブが日本語アカウントを開設している。現在4位のレガネスは、MF柴崎岳(28)加入後の20年10月から運用を開始した。もちろん柴崎に関する情報発信もあるが、こちらのアカウントも、ファンやJリーグ情報に積極的に関わっていくスタンスをとっている。

フォロワーは4000人ほどと多いとは言えないが、1人1人との交流を大切にしている印象。選手の写真で大喜利をしたり、柴崎の妻で女優の真野恵里菜(30)の誕生日を祝福するなど、「ファン目線」もやはり強い。柴崎のユニホームと同時に「キュウリ」がモチーフのクラブマスコットも売り出すなど、営業もぬかりない。

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日本語アカウント増加の一因として、17年4月からスペインリーグのDAZN配信が始まったことが挙げられる。スペイン各クラブの日本語アカウント開設の経緯を時系列に並べると、そのことがよく分かる。

▼17年9月~エイバル(15年からMF乾貴士が在籍)

▼18年5月~ベティス(同年6月に乾が加入)

▼18年9月~エルチェ(日本人在籍歴なし)

▼19年3月~カディス(日本人在籍歴なし)

▼19年8月~アルメリア(日本人在籍歴なし)

▼19年9月~サラゴサ(同年8月にMF香川真司が加入)

▼19年10月~ウエスカ(同年9月にFW岡崎慎司が加入)

▼20年10月~レガネス(同年9月にMF柴崎岳が加入)

※Rマドリード、バルセロナ、セビージャは16年以前から日本語アカウントを保持

欧州リーグに挑戦する日本人選手が増えていることや、日本という国の経済力もあるのだろう。選手の移籍における「マーケット」のみならず、広義での日本の「サッカー市場」に注目が集まっている。【杉山理紗】