サッカーの欧州のごく一部の強豪クラブが新たに「スーパーリーグ」を創設することで合意したと18日、参加12クラブが発表した。国際サッカー連盟(FIFA)と欧州サッカー連盟(UEFA)は全面的に反対する姿勢を表明。UEFAは参加クラブ、選手の同連盟主催大会への出場を禁止する方針を示した。

おおまかに言うと、スーパーリーグ創設を推進しているのは参加12クラブの経営陣。それ以外の欧州サッカー関係者の多くがこのプランに反対している。過密日程など、現状のUEFAの運営へ不満はあるものの、スーパーリーグ参加予定クラブの監督、選手ですら同リーグの導入を歓迎していない。ファン置き去りの金もうけ計画だとして、リバプールMFミルナーは19日のリーズ戦後「始まってほしくない」と明言した。

この計画に大きな影響を与えていると思われるのが、近年欧州サッカーに次々と進出してきた米国人ビジネスマンの意向だ。スーパーリーグ参加12クラブのうち、リバプール、マンチェスター・ユナイテッド、アーセナル、ACミランを米国人が運営している。また英ガーディアン電子版によると、参加クラブはそれぞれ米投資銀行のJPモルガンから2億~3億ユーロ(約260億円~390億円)の参加ボーナスを得られるという。

スーパーリーグの1番の特徴は、全20クラブのうち、15クラブは創設メンバーとして固定され、残り5枠が毎年入れ替わるというもの。昇降格がなく毎年一定の収入が保証されるのは、野球のメジャーリーグや、バスケットボールのNBAなどと同じで、米プロスポーツのやり方だ。

だが米国流を欧州で導入することが必ずしもうまくいくとは思えない。下部リーグからサポーターも含めて力を合わせ、上を目指すのが欧州サッカーの文化だからだ。またリーグがビッグクラブだけになってしまえば、15-16年シーズンのプレミアリーグで岡崎慎司が所属していたレスターが優勝するなど、考えもしなかったような番狂わせが起こることもなくなってしまう。

すでに多くのクラブのサポーターから拒否反応が出ており、ブンデスリーガのバイエルン・ミュンヘン、ドルトムントなどはスーパーリーグへの不参加を表明した。欧州最強軍団の1つであるBミュンヘンの不参加はスーパーリーグ側にとっても決して小さくない打撃になるだろう。さまざまな状況を考慮しても、この計画がすんなり実現するとは現時点では思えない。【千葉修宏】