サッカーの元イングランド代表主将のデビッド・ベッカム氏(46)が、7160万人のフォロワーを持つ自身のインスタグラムのアカウントをロシアの侵攻を受けるウクライナの医師に一時譲渡した。首都キエフに次ぐ第2の都市ハリコフにある周産期センターで妊婦の出産を支援する責任者のイリーナ医師と同僚たちの仕事ぶりに脚光を当てるため自身のプラットフォームを提供したもので、「戦火の中で医師たちがどのように働いているのか見て欲しい」とベッカム氏は語っている。

フォロワーはベッカム氏のインスタグラムを通じて同医師と同僚たちが働いている状況を見ることができ、侵攻初日に全ての妊婦や母親が避難したという地下室の様子なども公開し、「最初の数日間が一番大変だった。爆撃や空爆がある中で、どのように活動するか学ばなければならなかった」と現状を伝えた。また、別の動画でも現在、毎日24時間休みなく働いていると語り、「私たちは命の危険がある可能性があるが、それは全く考えていない。この仕事が大好き」と語っている。

ユニセフ(国連児童基金)の親善大使を務めるベッカム氏は、ウクライナの子供たちを支援するため妻のビクトリア夫人とともに緊急支援基金を立ち上げ、自身のインスタグラムでのファンに寄付を呼び掛けている。ベッカム氏はウクライナの信じがたい状況を目にして、どうしたらよいか分からない無力感を感じていると語っていた。ユニセフはウクライナ隣国で水や食料の提供など避難民の支援活動を行っている他、子供の保護活動なども行っている。イリーナ医師もユニセフから寄贈されたという酸素供給器を使用する新生児の様子を紹介していた。

ベッカム氏は2015年に、世界中の何百万人もの子どもたちを危険から守り、支援するための基金「7:ザ・デービッド・ベッカム・ユニセフ基金」を設立している。(ロサンゼルス=千歳香奈子)