マンチェスター・シティーのウクライナ代表MFオレクサンドル・ジンチェンコ(25)が15日、英ガーディアン紙電子版のインタビューに登場。ロシア国民に向けて「何も言わなければ、ロシアがウクライナに対して行っている事を肯定しているのと同じ。声を上げてほしい」と訴えた。
ジンチェンコはウクライナ1部シャフタル・ドネツクの下部組織で育ち、ロシア1部ウファでプロのキャリアをスタートさせた。当時はロシア人の友人もいたという。「何人か友人もいたけど、今はほぼゼロになってしまった。本当にがっかりしている。ロシアの侵略が始まってすぐ連絡をくれた人もいた。彼らは『すまないアレックス(ジンチェンコ)。でも僕らにはどうすることもできないんだ』というメッセージをくれた。でももちろんできることはある。黙っていたら、今ウクライナで起きていることを支持することになる。彼らがなぜ黙っているのか分からない」と声を上げる必要性を強調した。
ジンチェンコは続けて「彼らは政府に抗議をして投獄されるのを恐れているのかもしれない。でもサッカー選手やスポーツ選手が一斉に戦争反対を訴えたら、彼ら全員が逮捕される? そんなことはあり得ない。無言でいることは恥ずべきことだ」と話した。
ジンチェンコはキーウに近いラドミシュルという町で生まれた。ロシアによる虐殺のあったブチャから西に車で1時間半ほどの場所だ。「誰も町を離れようとしない。男たちは武器を手に取り、戦うつもりだ。何も明け渡すつもりはない。自分たちの町だし、自分たちの故郷で、生まれ育った場所だからだ。これがウクライナ人のメンタリティーで、自分もその1人であることを誇りに思う」と話した。
ジンチェンコはブチャで起きた出来事については「悪夢だ。世界中にショックを与えた。ロシア人は我々の市民を殺害し、子供たちを殺し、女性や少女をレイプした。彼らは犬を殺し、食べた者までいた。そしてこういった出来事がウクライナによるプロパガンダ(世論を誘導する情報戦)と言っているロシア人を見ると恥を知れと思う。どうしてそんなことが言えるのか。自分は本当の写真を送ってもらい、2週間も死体が放置されているのを見ているというのに」と説明した。
ジンチェンコは英国のジョンソン首相がウクライナを電撃訪問したことについて「我々にとって本当に良い合図になったと思う」と感謝しつつ「難民や、ビザなしで英国に来た人々についてより良い対応をお願いしたい。より多くの人が来られるようにしてほしい」と希望を述べた。
22年ワールドカップ(W杯)カタール大会欧州予選プレーオフA組準決勝・スコットランド-ウクライナが6月1日に開催されることが決定した。それでもジンチェンコは「今の1番の問題は国を守ること。ウクライナのサッカーについて考えている人はいないと思う」と断言。「家族を守り、どうやって現状を良くしていくか。この戦争に勝利することができれば、我々は何か特別なことを築き上げることができると思う。そう確信している」と願っていた。

