イタリアの名門ACミランが同国のライバル、ナポリと1-1で引き分け、2戦合計2-1で準決勝進出を決めた。

ベスト4に入るのは優勝した06-07年以来、実に16季ぶり。いよいよ完全復活が視界に入ってきた。史上最多15度目の優勝を狙う前回王者レアル・マドリード(スペイン)は、2年前の覇者チェルシー(イングランド)を2-0で退け、2戦合計4-0で3季連続で4強入りした。

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史上2位のCL7度制覇を誇るACミランが、伝統の勝負強さを発揮した。セリエAで首位を独走するナポリを2戦合計で上回った。ピオリ監督は「我々は不利だと思われていたが、チームには気持ちの強い選手がそろっている。泥くさく戦い、準決勝進出を勝ち取った。我々はベスト4にふさわしかった」と喜んだ。

第1戦同様に序盤は押し込まれ、前半22分にはジルーがPKを失敗した。それでも堅守から流れを引き寄せる意識はピッチ上の全員に浸透。ラファエル・レオン、ジルーの両FWも自陣ゴール前まで戻り、体を張ってピンチを防いだ。前半43分にはレオンの左からの折り返しをジルーが左足で流し込んで先制。後半ロスタイムに追いつかれたが、逆転は許さなかった。

欧州CLが“主戦場”だったかつての名門も、13-14年から昨季までCL出場から遠ざかった。当時はロシアや中東、米国などからサッカー界に巨大資本が注入され、他クラブは豪華布陣をそろえてチームを強化。その一方でACミランは、元イタリア首相にして長年クラブを保持したワンマンオーナー、ベルルスコーニ氏のもとで時代の潮流から取り残された。

本田圭佑もプレーした2010年代半ばは資金力不足だけでなく、ピッチ内でも迷走。監督はコロコロ変わり、方向性がぶれ続けた。そんな低迷期に変化が表れ始めたのが、18年に米国のヘッジファンド運営会社エリオットがオーナーとなってから(22年6月からのオーナーは米国の投資会社レッドバード)。クラブ運営が健全化すると、テクニカルディレクター(TD)を務める“レジェンド”マルディーニ氏による選手獲得の手腕もさえた。ジルー、レオン、GKメニャン、テオ・エルナンデスら主力選手が加入。選手の特長を生かすピオリ監督の好采配も当たり、昨季は11季ぶりにセリエAを制した。

ピオリ監督はナポリ戦の後に「私たちは多くのことをやり遂げてきたが、まだ止まるわけにはいかない」と強調した。ミランの完全復活には“いるべき場所”である欧州CL決勝への進出が欠かせない。

◆ACミラン 1899年創設の欧州を代表するビッグクラブ。セリエAではユベントスの36回に次ぐ、19回の優勝を誇る。63年にイタリア勢として初めて欧州CLを制覇。Rマドリードに次ぐ2位の7回の優勝を果たしている。サッキやカペッロ、アンチェロッティ(現Rマドリード)ら名だたる名将が率いてきた。98年には元日本代表のザッケローニ監督も就任、リーグ戦優勝を果たしている。本拠地はインテル・ミラノと同じサンシーロ・スタジアム。

◆06-07年ACミラン黄金期 06年にイタリアサッカー界は審判買収などの不正疑惑が明るみとなり、逆風にさらされていた。そんな中、当時世界最高の選手だったブラジル代表MFカカを筆頭に、FWインザーギ、MFピルロ、ガットゥーゾ、DFマルディーニ、ネスタ、GKジダら世界的な名選手を各ポジションに配し、欧州CL決勝でリバプールを2-1と破り7度目の優勝を果たした。突出した能力を持つ選手たちをアンチェロッティ監督が束ね、その後のクラブW杯も制し世界一に輝いた。