【セビリア=高橋智行通信員】レアル・ソシエダードの日本代表MF久保建英(24)が、プロキャリア初のタイトルを手にした。
アトレチコ・マドリードとの決勝で2-2の後半43分から出場し、延長で決着がつかずPK戦を制した。チームは19-20年大会以来6年ぶり4度目の優勝で、来季の欧州リーグ出場権も得た。久保は6月11日(日本時間12日)開幕のW杯北中米大会へ「このポジティブな風を日本代表にも吹かせられたら」と活躍を誓った。
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温暖なアンダルシア、気温29度で始まったナイトゲーム。試合終了の午後11時49分、7万超の会場はヒートアップした。勝利が決まった瞬間、センターサークルにいた久保はガッツポーズとともに駆け出した。味わったことのない熱い喜びに、体中が包まれた。
「ここまでこういった試合に恵まれてこない部分もあって、決勝に行ってもおかしくないような試合でひっくり返されたりとか、けっこう涙を飲むことがたくさんあった。ここでタイトルを取れたのは引退する時に誇れるものが1つ増えたのかなと思います」
16歳で東京とプロ契約して10年。幼少期から天才と呼ばれたが笑ったことより涙したことの方が多い。21年東京五輪で銅メダルを逃し、ワンワンと号泣した姿は記憶に新しい。今季は1月18日のバルセロナ戦で左太ももの肉離れ。3カ月近くも離脱しただけに、この場に立てた喜びは大きい。
2-2の同点とされた後半43分からの出場。延長前半には巧みなヒールパスから決定機を演出した。勝負に直結するプレーはなかったが“らしさ”は見せた。「あのレベルの相手にちゃんとプレーできた。自信を持ってここからプレーできるようになるかなと思います」。アルゼンチン代表の若きエース、アルバレスら2カ月後のW杯を彩る各国代表のスター選手たちと相まみえ、伝統のメジャータイトルをつかんだ。スペインで日本人がタイトルを取るのは初めて。また1つキャリアの階段を昇った。
三笘とともに日本代表の顔だ。不参加だった3月のスコットランド代表、イングランド代表戦はしっかり見た。「俺が出ていたらどうとか考えていた。でも幸いW杯に間に合うので、本番でいいプレーができたらな」と意欲は高まった。そしてこの日、無冠だった若きキングが戴冠を果たした。「このポジティブな風を日本代表にも吹かせられたらなと思います」。次は世界の頂をにらんでいる。

