来日中の元カメルーン代表FWパトリック・エムボマ氏(39)が、12日のロシアリーグ開幕アムカル戦で劇的な決勝ゴールを挙げたCSKAモスクワMF本田圭佑(23)を、世界一流選手に例えて絶賛した。2月24日欧州CLセビリア戦など、本田のプレー映像をみて「イタリアで言うところの9・5番。(元イタリア代表の)ロベルト・バッジオのようなスタイルだ」と説明。「カメルーンでエトーが必要とするタイプの選手」「W杯日本代表のカギとなりうる存在」と言い切った。

 カメルーン代表のアドバイザーも務めるエムボマ氏にとって、本田は「発見」だったようだ。スカパー!のW杯メディアアドバイザー就任に伴い、来日中。2月24日の欧州CLのセビリア戦(1-1ドロー)、前所属のVVV時代の編集映像をチェックし、トップ下から積極果敢にゴールを狙う姿に目を見張った。

 エムボマ氏

 相手のかわし方がうまい。運動量は多くないが、すごくポジショニングもいい。スピードはないけど左足のキックもすごい。決定力もあるし、頭でも得点できる。イタリアの表現で言うなら「9・5番」。ロベルト・バッジオのようなスタイルだ。

 R・バッジオと言えば、90年代のイタリア代表を支えた不動のファンタジスタだ。93年にバロンドール(当時は欧州最優秀選手)、FIFA年間MVPを獲得。セリエA歴代5位の205ゴールを記録する。

 エムボマ氏

 9番はストライカーで、10番はゲームメーカー。9・5番とは、両方できる選手のことだ。(現在のサッカー界で)左利きで似たタイプは、すぐに思い浮かばない。まさに彼は「ケイスケ・ホンダ」。彼は彼、ということだ。

 カメルーンと日本はW杯初戦で戦うライバルだが、強くゴールを意識する本田の動きにホレ込んだ。

 エムボマ氏

 本田は、まさに(カメルーンFWの)エトーが必要とする選手だ。2列目からゴールを狙ってくれるから、FWはフリーになりやすい。カメルーンはエトーに頼りすぎるため、彼にマークが集中するのが問題だ。本田なら、それを解決してくれる。W杯でも浮沈のカギを握る存在となりうる選手だろう。

 「いいものを見させてもらった」。そう言うと、エムボマ氏は右手を差し出した。【佐藤隆志】

 [2010年3月14日8時40分

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