アルゼンチン代表FWリオネル・メッシ(39=マイアミ)がW杯に別れを告げるかのように涙を流した。
表彰式でメダルを受け取り、自国サポーターの元へ。大声援を浴びると、目からこぼれ落ちたしずくが美しくほおをつたった。輝かしい代表キャリアを思い起こすかのように「メッシコール」をかみしめた。
「集大成」の舞台だった。代表引退を明言していないが、決勝前夜に自身のSNSで「この数年間で一番素晴らしかったのは、タイトルを獲得したことだけではなく、その道のり全て」などと投稿。道のりを誇り、「誰も消し去ることのできない物語を紡ぎ出した」と一区切りともとれる表現で士気を高めた。
迎えた決勝。チームのシュート数は相手の20本に対して、2本に抑え込まれる完敗。ただ終盤はメッシが起点となって猛攻を仕掛け、もう少しで同点の場面を生み出した。少ないタッチ数で相手の脅威となった。
39歳になっても大会の顔であり続けた。初戦で最年長ハットトリックを達成すると、第2戦でも2得点。勝ち進むにつれて存在感は増し、準決勝のイングランド戦では敗戦濃厚だった終盤に2アシストでチームを救った。ピッチ内外でチームを鼓舞し、2大会連続のファイナルに導いた。
6大会連続W杯出場はポルトガル代表FWのC・ロナウドと並んで史上最多。こちらも最多の34試合出場で通算21得点、12アシストを記録した。優勝1度、準優勝2度など圧倒的な実績で大会を彩った。
最後は運命的な相手だった。13歳から移住し、育てられたスペイン。長く活躍したバルセロナ在籍の選手も多く、そのパスワークに苦戦した。試合後は20歳下の相手FWヤマルと抱擁。同じ左利きで、バルセロナの下部組織で育ち、10番の継承者に何かを託すように健闘をたたえ合った。失意の試合後は報道陣の前を通らずに帰路に。言葉を残さずに6度目のW杯が幕を閉じたが、その輝きは決して色あせない。


